映画評「記憶屋 あなたを忘れない」

☆☆(4点/10点満点中)
2020年日本映画 監督・平川雄一朗
ネタバレあり

織守(おりがみ)きょうやという作家によるホラー小説の映画化であるが、映画版はホラーの印象はなく、ファンタジーを仕込んだ青春映画の趣きである。

プロポーズした恋人・杏子(蓮佛美沙子)にすっかり忘れられてしまった広島出身の大学生・遼一(山田涼介)が、どうも記憶を失わせることのできるという都市伝説のある記憶屋のせいと思い、大学に講演に来た高原弁護士(佐々木蔵之介)や幼馴染の真希(芳根京子)に協力の下に記憶屋を探し始める。
 記憶を消してもらったとされるのは主に連続強姦事件の被害者女性だが、彼の場合は杏子の記憶を戻してもらうのが狙いである。実は脳腫瘍を患っている高原は幼い娘から自分の記憶を消してもらいたいと思っている。真希は幼女時代に誘拐されて危うく助けられた経験があり、しかし、直後からその記憶を持っていない。どうも十数年前に記憶屋に辛い記憶を消してもらったらしい。
 やがて弁護士は記憶屋が真希であると気付き、遼一も彼の残した手紙からそれと知る。彼女が自分の思いを告げた後彼を抱きしめ(多分それで記憶が消えるのだろう)東京を去った後、遼一はまた杏子の勤める喫茶店に入っていく。

この終盤部分には疑問が多く、しかも幕切れは両義的で座りが悪い。
 その一。何故弁護士は、事務所に落ちていたアイテム(広島カープ関連)から真希が記憶屋と気付いたのか。彼女は何度も事務所を訪れている。
 その二。遼一が好きな真希は杏子から事件だけでなく遼一の記憶も消す(能力がある)のに何故それに苦しむ遼一から杏子の記憶を消さないのか(それをやれば一挙両得の可能性あり)。
 その三。真希は最後に自分との経験だけを消したのか、杏子の記憶はどうしたのか? 最後に喫茶店に入るのだから杏子の記憶は消さなかったのだろう・・・とも言い切れない。偶然に或いは運命に導かれてその喫茶店が気になった可能性もあるだろう。
 疑問ではないが、遼一の行動が回りくどい。運命論的に可能性を考えれば、記憶屋に頼って杏子に記憶を取り戻してもらうより再びアタックしたほうが余程早いのではないか(それを言うとお話が成立しないが)? 幕切れの段階で漸く彼もそこに気付いたのだと思う。

真希の切ない思いだけは伝わるが、“お話の為のお話”に終始した感が強い。

認知症という言葉が発明された時に多くの方が?と思ったはず。記憶を失わせるのに記憶屋というのも同じような印象じゃね。

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