映画評「ブラック・クランズマン」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2018年アメリカ映画 監督スパイク・リー
ネタバレあり

これもまた実話ものだそうである。しかし、素材が相当面白い。監督はやや久しぶりのスパイク・リー。

ブラック・パワー映画「スーパーフライ」と「クレオパトラ・ジョーンズ」の名前が出て来るから、時代背景は多分1973年ではないかと思う。

コロラドスプリングス。アフロヘアの黒人青年ロン・ストールワース(ジョン・デーヴィッド・ワシントン)が警察に採用され、まず隠しマイクを備えてブラック・パンサーから派遣された講師が語る黒人集会に潜入する。ここで学生組織の女性会長パトリス(ローラ・ハリアー)と知り合い、やがてそこそこに親密な仲となる。
 その後諜報部へ移って、今度は白人至上主義で有名なKKKを捜査することになる。ここからお話は俄然面白くなり、レイシストの白人を気取って支部へ電話をかける。すっかり歓迎されたロンは会員にしたいと招きを受けるが、当然彼が赴くわけには行かない。そこでアングロサクソンとの区別がそれほど容易ではないユダヤ人の同僚フリップ・ジマーマン(アダム・ドライヴァー)が出かけることになる。

ここで問題とされるのが、これ以降ジマーマンが電話でもロンの振りをすればよいのではないかということだが、恐らくジマーマンよりロンのほうが口先三寸で生まれたようなところがあったということなのだろう。創作ではないので余り突っ込んでも意味がないデス。

遂に本部から届いた会員証を使ってロンを騙るジマーマンも参加する支部での式典に、いずれは大統領という意気込みのKKK代表の議員デーヴィッド・デューク(トレヴァー・グレイス)がやって来、その警護に偶然にもロンが選ばれ、変な空気が醸成される。
 どこまで実話なのか解らないが、チコちゃんと同じように二人一役のロンご両人が一緒の会場にいるというのが可笑しい。

さて、式典も終わって会食の席から女性が去って車に乗る。デモ隊に爆弾を仕掛けに会を抜けたわけだが、警察が厳重に警護していて不可能なであるため、第二案として自宅に戻ったパトリスの暗殺を狙う。爆発物が郵便受けに入らないので車に仕掛ける。ロンは彼女を逮捕しようとして、刑事と知らぬ白人警官に邪魔される。後からやってきた女の夫(ヤスペル・ペーコネン)がスイッチを入れる。車の爆破に巻き込まれて彼は死んだらしい。
 かくして警察は惨劇の阻止とKKK捜査に成功するが、予算の関係で諜報部は解散の憂き目をみる。

例によってコメディーという扱いに疑問の声が上がっている(少なくとも欧米のコメディーと日本で言う喜劇は同じではない)が、そう言われる作品の中では喜劇度は高い。それ以上に、明らかにトランプの言動を50年近く前の騒動に投影する(と言うか、トランプは過去の人物の真似が多いので、狙わなくてもそうなりがちなのだが)ことで同氏を皮肉る側面が強く、僕はこの作品を現在を風刺した作品なのだと解釈する。

本作におけるKKKの連中は言動は怖いが、実に間が抜けている。この辺りも喜劇と言われる所以である。
 KKKは法律の規制もあって大人しくなったと言われているが、トランプに焚きつけられて不穏な動きに出る可能性が高くなっている。現在軍隊が議事堂を警護している原因はKKKではないが、トランプの妄信的支持者は似たようなものでありましょう。

閑話休題。
 スパイク・リーの作品としては初期の作品より娯楽性が高くぐっと見やすい一方で、技術的にはさほど取り上げるところがない。後半の、KKKの式典とブラック・パワーの集会とが交互に出て来るところがちょっと目を引く程度。

日本のトランプ支持者即ち安倍前首相の熱狂的支持者が、池上氏がテレビ朝日の番組で中国人権問題へのトランプとバイデンの態度の違いを指摘したところ、文句を付けて炎上した。しかし、池上氏の言ったことは専門家の間では常識。昨年秋大統領選が始まる前に、僕は近所の人(免許剥奪されてタクシー代わりをしているおじさん)に“中国に甘い態度を取るだろうと一部で言われているバイデンのほうが人権問題への意識は高い(からバイデンになってもその部分に関して強められることはあっても緩められることはない)”と語った。民主党より共和党寄りの専門家もそれは認めていた(有体に言えば、僕はその意見を採用したのだ)。

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