映画評「徳川女系図」

★(1点/10点満点中)
1968年日本映画 監督・石井輝男
ネタバレあり

日本メジャー映画初のポルノ映画だそうである。

日活ロマン・ポルノのように、性に生を見出させる狙い若しくは見出せる結果があるならば一概に否定的になる必要もないと思うが、東映のポルノは本当に趣味が悪い。
 石井輝男とすれば、それなりに楽しませてくれた「地帯」シリーズで披露したエロ趣味を大幅に拡大したという感じなのだろうが、下手に理屈をこねるから妙に厭らしく、かつ、つまらなくなるという見本のような作品に終る。

徳川五代将軍綱吉(吉田輝雄)の大奥をめぐるお話。

大奥には地元のグループと京都出身のグループがあり、寵愛した女性に色々と裏があるのに綱吉がもやもやしていた頃、公家出身の側室が懐妊するが、敵対する地元グループの讒言(と言っても内容は事実なのであるが)により自分の子であることを疑い、彼女を連れて来た柳沢吉保(実の父親)に払い下げてしまう。
 その後も女性を色々といたぶる所業の後、自決した腹心(小池朝雄)の真情を知って改心、生まれた柳沢の子を自分の子供と認知する。しかるに、柳沢を憎んでその成功を望まない正室信子(三浦布美子)が綱吉を刺殺する。

史実では病死した綱吉を何と正室に殺させるのだから、開いた口が塞がらない。
 序盤は綱吉がほくろフェチぶりを見せるなど多少微笑ましいが、女性の真情が信じられないが故に女性をいたぶるという屈折ぶりを見せる心理分析映画よろしき後半は、頗るつまらぬ。もっともらしく理屈をつけていても観客の劣情に訴えようとしているのが見え見えのおためごかしで、実に程度が低いと言わざるを得ない。

凡監ではない石井輝男だからカメラに面白いところもあるが、内容空疎につきカメラを見る楽しみも空しくなる。変態度は高くても露出度は低く、それを目当てに見ると当てが外れます。

現在の一般映画の方が余程あけっぴろけに見せますな。

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この記事へのコメント

2021年02月19日 15:40
1点もありましたか。
>日本メジャー映画初のポルノ映画だそうである。
時代劇にするとセットや衣装には金がかかりますからね。東映ポルノはそういう豪華さはありましたね。
メジャー娯楽ポルノというと、一時期フランス映画は多かったですね。だいたい映画としてはおもしろくないんですが、女優がきれいだったり、絵的にはきれいだったり、そんなかんじでしたよね。
石井輝男、と聞くと、まず網走番外地シリーズを思い出すのですが、へんな映画もけっこう撮ってますね。網走番外地シリーズもへんといえばへんなんですが
オカピー
2021年02月19日 22:12
nesskoさん、こんにちは。

>1点もありましたか。

数年ぶりかなあ。
ブログを始める前なら、それに相当する(採点方が違います)作品をかなり観ましたが、最近はかなり選んでいるので、大分少ないのです。

「元禄女系図」のほうが、妊婦の腹を裂くなど残虐すぎて好きではないのですが、面白味があったので、本作より★一つ分多くしました。

>一時期フランス映画は多かったですね。だいたい映画としてはおもしろくないんですが

つまらなかったですねえ。日本の方が面白味はあります。
「エマニエル夫人」シリーズも、第一作すら大したことないのに、後続作品はもっとつまらなかった。若気でつまらないのを承知で観ました(笑)

>網走番外地シリーズを思い出すのですが、へんな映画もけっこう撮ってますね。

「地帯」シリーズも相当変でした。ただ、ヒッチコックを意識したカメラや設定などもあって、個人的には、まあ、好きでした。