映画評「オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁」

☆☆(4点/10点満点中)
2019年中国=日本合作映画 監督ユー・フェイ
ネタバレあり

役所広司の名だけを見て鑑賞したが、合作扱いも実質中国映画で些かがっかり。
 最近観る中国映画のレベルは、一時期のようなものが殆どない。輸入に選んでいる作品が悪いのだと言えば、それまでだが、中国政府が口を挟みすぎているのではないか? 全体主義国家においては大した芸術が出来ないのは、歴史が示している通りでござる。

インドの国家機密文書を盗んだネパール人の乗る飛行機が、エヴェレスト頂上に近いデスゾーン近くで墜落する。65時間後に始まるヒマラヤを囲む国家が集まって会議にまでその書類を回収しないと戦争が始まってしまうと、インド出身を自称する白人兄弟のエージェント二人が、役所広司を隊長とする救助隊“チーム・ウィングズ”に協力を頼んでくる。
 隊の運営費が逼迫している経営者に押された彼らは、新人で紅一点チャン・ジンチューを加えて、旅立つが、中腹に辿り着いた頃に事務所からの連絡で兄弟は偽物で武器商人、戦争を始める為に書類を手に入れる必要があるのだと判明。その情報が行き渡る前に隊員たちは、兄弟により少しずつ排除される。

さて、この陰謀は未然に防げるか・・・というサスペンスである。女子隊員にはエヴェレストに残してきた恋人の遺体を探し当てるという目的もあるのだが、全体的に実に下手な作劇である。そこまで言うと辛口に過ぎるというのであれば、お話の為のお話である。

例えば、武器商人がわざわざ危険を冒して自らエヴェレストに登る必要などありますまい。戦争を起こす手段など世界には無数にある。いざ、登山が始まった後も実に変である。兄弟は隊員たちを成功が確定した後、下山の途中にでも殺せば良いものを、辿り着く前に大半を殺してしまってはアマチュアの二人が頂上近くまで行ける可能性が低くなる一方ではないか。
 女子隊員の恋人探索は子供じみたアイデアだが、意外に主題たる陰謀サスペンスとの間でバランスが取れている。

視覚的には、中国製らしく相変わらずVFX(主にCG)がお粗末で、ハリウッドや日本のものに及ばない。エヴェレストものなら違う作品を観たほうがよろしい。

日本映画のVFXを貶す日本人が多い。実際には、最高のハリウッド映画より劣るかもしれないが、平均値はハリウッド映画と大差はない、とTV画面で見る限りにおいて、感じられる。背景が書割にも劣る中国映画と比べれば一目瞭然なのだ。

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