映画評「引っ越し大名!」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・犬童一心
ネタバレあり

武士の家計簿」(2010年)を恐らく嚆矢として、実話に則る武士の生活面に着目した映画がちょっとしたジャンルを形成している。もっと時間が経ったかと思っていたが、まだ10年だ。

姫路藩。越前松平家を祖とする城主松平直矩(及川光博)が、男色の誘いを断ったのを逆恨みした小納戸役柳沢吉保(向井理)の画策(史実ではないだろう)により、減封を伴う、九州日田への不条理なお国替えを命じられる。
 幼馴染の御刀番・鷹村(高橋一生)の推薦を基に、内向的な書庫番・片桐春之助(星野源)が引越し奉行に任じられる。辣腕が必要なこの大事業に全く不向きな彼は混乱を極めるが、既に故人となっている前の引越し奉行の娘・於蘭(高畑充希)の協力をやっとの思いで得て、次第に軌道に乗っていく。

逼迫する藩財政で処理する為に、この過程で徹底した節約を敢行しなければならない。これが映画の眼目で、具体的には、携行する荷物を厳しく取捨選択し、労働は全て藩士が行い、それでも足りないと思うと、家族を有す者などを地元に残し、石高加増された折には原状回復させる条件で百姓にする策を断行する。
 一方、藩には柳沢側と内通する次席家老・藤原(西村まさ彦)がいて、引越しを失敗に導くべく、行列を幕府隠密に妨害させる。

というのが主な内容で、実話に則ってこの後お国替えを何度もさせられた後、最初の引越しから15年を経て遂に松平直矩に加増が認められる。

「武士の家計簿」以来ユーモアを交えることが常套となっているこのジャンルであるが、数年来喜劇度が高くなり、個人的には感心しない。ユーモアは良いが、おふざけは良くない。それをやるなら徹底した時代劇コメディとして作るべきである。最後には人情にじーんとさせられても、古典的な演劇・映画観を持っている人間にはそれらが互いに相殺するように感じるのだ。それを振幅と思って喜べる人は幸せなり。
 そこそこ力の入ったチャンバラもあり、ばらつき気味の内容となっていて、犬童一心監督の作としては余り買えない。

但し、勉強好きの僕には、この手の作品の与えてくれる情報は有難いので、映画としての面白さが期待できなくても必ず見る次第。

年末に 読むより早い 映画かな

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント