映画評「氷上の王、ジョン・カリー」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年イギリス映画 監督ジェームズ・アースキン
ネタバレあり

スポーツ選手のドキュメンタリーであります。

オリンピックの面白さに目覚めたのは、1968年小学生の時に見たメキシコ・オリンピックによってだが、当時は夏と同じ年に行われていた冬季については大分後になる。
 札幌では日本勢が表彰台を独占した70m級ジャンプを生放送で観た記憶がある。アルペンへの興味もまだなかったが、ジャンプ以外では、ジャネット・リンというスターが登場する女子フィギュア・スケートにも注目した。当時はコンパルソリー(規定)という誠に地味な科目があって、彼女はそれが苦手だったらしく、銅メダルに留まった(とウィキペディアにも書いてある。僕の記憶にも正しい時がある)。

が、男子フィギュアは、日本に強い選手がいないこともあって全くニュースにならず、当方も当時の男子選手は一人として知らない。つまり、札幌の次のインスブルック冬季オリンピックで金メダルを獲った本作の主人公ジョン・カリーも今回初めて名前を聞く。
 にも拘わらず、(恐らくかなり限定的ではあろうが)日本で劇場公開されたのは、近年の日本におけるフィギュア特に男子フィギュアの人気によるところが大きいのだろう。

一方、1994年にエイズで44歳で亡くなった彼が2018年という時期に主役に選ばれた理由としては、彼がアマチュア・スケーターとして活躍した70年代は勿論、亡くなった90年代よりぐっと同性愛者への理解が進んだ現在において、彼が自分の同性愛指向を不本意にも発表(最近言うアウティング)されてしまった以降の苦闘を知らしめるということにあるのではないかと想像する。彼の優雅なダンス的なフィギュアそしてプロ・ダンス・スケーターとしてパフォーマンスが見どころであることは確かなのだが、それだけで四半世紀前に亡くなったスポーツ選手を取り上げることはなかった筈である。

彼と最後に一緒に踊った男子スケーターが皆エイズで死んだという事実も壮絶すぎる。

彼の華麗なパフォーマンスという特典があるおかげで、彼について語る人物の映像は殆ど排除され、彼の映像にコメントが乗る形で進行するのが伝記ドキュメンタリーでは非常に珍しい。男子フィギュア・スケート・ファンの方はどうぞ。

今回の東京オリンピックはタイミングが悪かった。どんな形であっても、所期の経済効果は期待できないねえ。東京新聞の読者には再延期若しくは中止という意見が多いが、選手のことを考えるとそのままやるべきと思う。但し、日本のTV局がアメリカNBCより多額の金を出して、3か月ほど順延できればベターなのだけど。オリンピック日程がIOCとアメリカ放送局の関係性によって決められていることを知らない人が多いねえ。敢えて名前は伏せるが、ワイドショーを見る習慣のない僕が事情があってTVをつけたら、(それくらいの知識はあるはずの)コメンテイターがオリンピック開催時期と日本人の根性論を強引に結び付けていたのにビックリ。オリンピックはその国の都合で開催時期が決められているわけではないので、明らかな大嘘でござる。

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