映画評「花とアリス殺人事件」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・岩井俊二
ネタバレあり

初期は全く苦手であった岩井俊二監督の印象を刷新した記念的作品が「花とアリス」(2004年)で、日本を代表する女優になった蒼井優を認識したのもかの作品。
 本作は、そのヒロインたちである有栖川徹子(声:蒼井優)と荒井花(声:鈴木杏)が親友になる経緯を、ミステリー要素を散りばめて綴ったアニメで、そこはかとなく馬鹿らしいところに軽みがあって実に良い。

中学三年生の徹子は転校した中学で、自分の席に去年座っていた少年が昨年殺されたとされる事件を知る。その席の後ろに座っていた女生徒が、彼女の家のお隣さんの娘・花で、一年ほど登校していない為に一年留年している(日本では珍しい?)。
 それを知った徹子が真相を知ろうと、母親が家を空けた隙に家に入って花に接近、意外と気さくに出て来た花は、その少年・湯田光太郎(声:勝地涼)が死んだかどうか知らず悩んでい、会社にいる父親に徹子を接近させてその様子から推測しようと、計画を立案する。
 ところが、徹子はかなりおっちょこちょいで花の計画を滅茶苦茶に破壊し、逆に花が彼女を尾行するうちに発見した湯田父を追いかけ、終電を逃した二人は結局まる一日一家の住む団地を見張ることになる。結局、朝方通りで花は光太郎を発見し、安心する。かくして二人は親友になる。
 つまり、花はアリスこと徹子に対し年齢的に一年先輩に当たるわけでござる。「花とアリス」にそんな説明があったか、忘れたなあ。

殺人というのは、花に触発された光太郎が行った、四人の女生徒に婚姻届を渡すというお遊びに嫉妬した花が蜂を彼の背中に入れたことによりかなり悶絶した後彼が(翌日の転校で)行方知らずになった為に憶測された中学生らしい伝説的事件ということが、二人の間の抜けた珍行動や回想から解って来るというミステリーの図式。

通常、蜂など虫によるアナフィラキシー・ショックは、初めて刺されても起きないわけで、彼が倒れたのはただの痛みからだったはず。中途半端な知識が要らぬ心配を増幅させた可能性が高い。この辺りも中学生。
 その辺りの(下ネタや麻薬に向うアメリカ映画と全く違う)日本的おバカ感覚が実に楽しく、それを気取らずに活写するのが気分良く見られる所以でござりましょう。

遊びが無数にあるが、石ノ森学園など漫画家の名前が随所にちりばめられている外、有栖川という名字の母親がミステリー作家というのは有栖川有栖を意識しているのだろうし、父親の苗字が黒柳。即ち徹子は母親が離婚する前は黒柳徹子だったというお笑い。
 少しマニアックになるが、63分くらいに徹子と手術後の老人が喫茶店の二階から降りるのを階上にいる若者たちが見送るのは黒澤明監督「生きる」のパロディーで、さらに映画はその後ブランコの場面を繋げ映画ファンをニヤニヤさせるのだ。

コロナのワクチン二種で、アナフィラキシー・ショックを起こす人が散見されている模様。とりあえずそのまま継続されるようで、これ以上問題が起きなければ日本でも三月から接種が始まる見込み。行動の自由度が上がるのは夏以降になるだろうが。

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