映画評「フォードVSフェラーリ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年アメリカ映画 監督ジェームズ・マンゴールド
ネタバレあり

モータースポーツは今でこそ全く観ない(観たくても少なくともTVでやってくれない。NHK-BSも有料のWOWOWも撤退した)が、興味のある分野である。子供の頃は車種については一通り知っていて、外国の車に関しては他の子供より遥かに詳しかっただろう。よって、こんなタイトルの映画にわくわくしないはずがない。

若干タイトルに偽りありで、フェラーリはドラマ展開におけるダシである。

1960年代半ばのフォード社。停滞気味の社を立て直すべく、ル・マンで連覇をするフェラーリのようなレーシング・カーを作ってイメージ・アップを図るよう、後に社長になる敏腕リー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)が社長ヘンリー・フォード2世(名前からの想像とは違って孫、トレイシー・レッツ)に提案する。
 まずフェラーリとの業務提携を企図するが、馬鹿にされてお話はご破算。そこで彼が目を付けるのが、1959年にアメリカ人で初めて(?)ル・マン24時間レースを制したキャロル・シェルビー(マット・デイモン)である。彼は心臓を悪くしてレースを引退し、F1で言うコンストラクターのような立場でスポーツ・カーを売る会社を作っている。そのデザイナーとしてのアイデアを使おうというのである。
 かくしてフォードと手を組むことになったシェルビーが目を付けるのは、自動車整備工場もやっている英国出身レーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)。

本作が見せようとしたのは、彼等二人の “お前と俺” のような喧嘩友達的な関係性である。そこに絡んでくるのが、同じフォード・グループでも他のチームよりコンストラクター的な彼らをあくまで利用しようというフォード側の実利主義。
 1966年のル・マンで、個人プレイが目立つマイルズが人間的に成長したところを見せて楽々優勝できるところをわざと大減速して他のフォード・チームと同時にゴールインしたのに、ルールの為に2位となる憂き目に遭う。フォードはそれを承知でシェルビーに通達したのである。これにシェルビーは慚愧に堪えない(フォードと縁を切るわけではないのだが)。

ましてマイルズは2か月後に翌年のル・マンを目指した改良型のテスト走行中に事故死してしまうだけに、僕個人としても非常に同情してしまう。

しかしこれだけでは実務的な作品に終ってしまうので、映画はマイルズの妻(カトリーナ・バルフ)と息子(ノア・ジューブ)を大いに絡め、アクセントとして上手く機能させている。本作に滋味が生まれたのは、彼の家族の描写があったからとも言って良いくらいで、特にスケールの大きな細君に扮したカトリーナ・バルフが好演。

監督ジェームズ・マンゴールドの見せ方はいつも安定している。実はご贔屓なのだ。

キャロルは日本で言えば、“ひろみ”みたいな名前か。尤も、女性のキャロルはキャロラインの省略であるのが普通。そう言えば、昔キャロライン洋子というタレントがいましたね。

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