映画評「ルパン三世 DEAD OR ALIVE」

☆☆★(5点/10点満点中)
1996年日本映画 監督モンキー・パンチ
ネタバレあり

シリーズ第6作(放映したWOWOWのカウントでは第5作)。原作者のモンキー・パンチが監督を務めているのが興味深い。コミックの原作者が自作映画化の監督をした例は他にあるのかな? 

舞台は架空のズフ国。名前はアフリカっぽいが、雰囲気は南米である。クーデターで国王を殺したとされる王子パニシュを処分した首狩り将軍(声:銀河万丈)が独裁を施行するが、その真の目的は、王子が鍵を握っている、漂流島に秘匿されている財宝である。夫々独自にアプローチする峰不二子(声:増山江威子)やルパン三世(声:栗田貫一)は、それが IT により物凄い管理がされていることを知る。その中に無事に入るのはパニシュがいないと難しい(かかる文脈の中の“難しい”は“事実上不可能”の意味であります)。
 彼らに絡むのが、パニシュを心の恋人にしている女性工作員オーリエンダー(声:高山みなみ)で、ルパンらから亡くなっているはずの王子を見たと聞き、街に繰り出す。
 他方、ルパンはお馴染み銭形警部(声:納谷悟朗)やズフ国から出される賞金目当ての連中から追われることになる。

時代が急激に IT化する1990年代中葉の作品群だけに、前作に続いて ITが色々と繰り出される。これが却って古さを感じさせるというご意見も解らないではないものの、僕は逆にその当時のことを思い出し、同時代の日本の庶民感覚より多少先行していた(ウィンドウズ95は出ていたが、まだパソコンを活用していた庶民はまだまだ少なかった。調査によると1996年初頭では17~20%くらい。携帯電話にいたっては2~3%)ように感じられ、評価に加味しても良いと考える。

前作に続いて内容は初期に比べると抑制的で、純冒険要素が多くすっきり見られる。アルセーヌ・ルパンのファンとしては、三世が女性に対して助平心より優しさを見せるのが、とりわけ良い。僕のイメージ以上にアルセーヌ・ルパンに近い三世像を持っていたモンキー・パンチに対する好感度が増した。
 しかるに、アルセーヌ・ファンが愛してやまない「カリオストロの城」は勿論最新作「ルパン三世 THE FIRST」よりも落ちる。後者はファンの間で評価が分かれる感じになっているが、女性への優しさだけでなくそこにミステリー的要素と純冒険要素をうまく絡ませている為、アルセーヌ贔屓には「カリオストロ」に次ぐのである。あの感覚をこれから出る作品には求めたい。

題名の中にある “DEAD OR ALIVE" は西部劇でお馴染みの “生死を問わず” の意味で、英語の契約書でもこの用法の“OR"はよく出て来る。もう一つ、パニシュ王子の生死不明を指すダブル・ミーニング。Wikipediaにもそう書いてあります。

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