映画評「愛がなんだ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・今泉力哉
ネタバレあり

八日目の蝉」の印象が強い角田光代だが、悲劇的で波乱万丈な同作と打って変わって劇的なことは何も起こらない恋愛小説の映画版である。

OLテルコ(岸井ゆきの)は、結婚式の二次会で知り合った雑誌関係者(?)のマモル(成田凌)に惚れている。相手は彼女を便利に使っているだけだが、それで満足している。彼女の親友の葉子(深川麻衣)は、逆に年下のカメラマン中原(若葉竜也)を便利に使ってい、テルコにとって中原は自分を反射する鏡に相当する。

この四人の不思議な関係において、三十代半ばのだらしない感じの事務員すみれ(江口のりこ)がマモルに接近したことから、色々と化学反応が引き起こされることになるが、テルコは、マモルがすみれに傾くのに協力してでも、或いは自分が彼に興味を失った振りをしてでも、マモルが精神的に自分から離れないように知恵を絞るのである。

愛や恋というよりヒロインが自ら認めるように彼女の“執着”を巡るお話で、犯罪にならないレベルのストーキングと言って良い心理に触れる面白味がある。
 交友が狭いせいもあって自分を含め周辺にこういう人物を見出さないのだが、それでもヒロインを含め恋愛心理の機微がよく描かれていると感じられ、若い男女優の好演を得て、楽しめる。

人間関係の切り取り方や章仕立ての進め方がエリック・ロメールに似ている感じがするが、如何? (その後、気になったので調べてみたら、本人はそもそもロメールを余り見ていず意識していないと言うが、やはり周囲からは似ていると言われるらしい。)

人間のやることだから、偶然に似るということもあるでしょ。

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