映画評「ラスト・リベンジ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2014年アメリカ=バハマ合作映画 監督ポール・シュレーダー
ネタバレあり

ニコラス・ケイジ主演作で、やや古い。IMDbで4.4(中心点5.5の80%)、Yahoo!映画で2.4(中心点3.0の80%)とほぼ良い勝負の低評価であるが、そこまでは悪くない。寧ろやたらにがちゃがちゃしている、ケイジの他の近年主演作より映画的風味があって買いたいくらい。ポール・シュレーダーの脚本・監督作品としてもマシな部類ではないか。シュレーダーは脚本作には良いものがあるが、自分で監督もするのはピッチャー・フライのような凡打が目立つ。

ベテランの刑事・・・ではなくCIA捜査官のケイジ氏は上司から引退を勧告される。というのも彼は前頭側頭型認知症を患っているからである。強制的に退職させられた彼に、彼を慕う若い事務官アントン・イェルチンから、22年前にケイジが取り逃がしたイスラム過激派の幹部に繋がる情報がもたらされる。
 ケイジの策略が奏功して活動できなくなっていた幹部が難病を患い、その医療データから幹部を仕留めてやろうといきり立った彼は、幹部の治療を命じられたルーマニアの医師に成りすましてケニアへ飛び、幹部の前に現れる。

というお話で、認知症とスパイ映画を合体させたところが一つのアイデアとして興味深い。アルツハイマーと違ってこの病気の患者は、短期記憶障害ではなく、性格の変化やルール無視といった症状を示すのが典型例で、この映画にはこの病気の紹介編のようなところがある。
 従って、一定の条件さえ整えば捜査官としてやれないことはなく、そこを突っ込むのは野暮らしい。途中で自動車運転を禁止される殆ど意味がなさそうな場面が出て来るが、この病気の症例の一例らしく、それが幕切れへの伏線になっている。

最後にちょっとした一連のアクションがあるものの、全体としては捜査ものに近い味わいで、派手なアクションを期待しない限り、そう捨てたものにあらず。かと言って余り期待して貰っても困るが。

もう一点面白いのは、認知症の彼が追う幹部も重度の病人という点。エージェントもテロリストも皆年老いるという観点を加えているのが、僕のような初老(昔なら完全な老人)ともなるとアングルとして魅力に見える。若い人にはなかなか解りますまい(実際IMDbの年齢別評価を見ると、45歳以上の評価が比較的高い。60歳以上というのがあればもっと上がるだろう)。

邦題の“リベンジ”は“復讐”の意味ではなく、松坂投手が若手時代に日本で流行らせた“雪辱”の意味であります。

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