映画評「ルパン三世 ルパンVS複製人間」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1978年日本映画 監督・古川惣司
ネタバレあり

WOWOWが昨年か一昨年宮崎駿関連で放映した第2作「カリオストロの城」と第4作「風魔一族の陰謀」(曰く付きらしく放映されない)以外の長編映画とTVスペシャル版を特集しているので、特段に愛着があるわけではないものの、折角なので全部録っておくことにした。DVD時代ならしないがブルーレイで2枚くらいに収まる故でござる。「カリオストロの城」は以前保存版を作っているので大体全部揃う。

この劇場版第一作は、40年ぶりの再鑑賞。

ルパン三世(声:山田康雄)がエジプトのピラミッドから不老不死をもたらすらしい “賢者の石” を手に入れると、その奪取を怪人マモー(声:西村晃)に依頼された峰不二子(声:増山江威子)に奪われるが、IQ300と言われる天才のルパンだけに全ては計算済み。マモーは不老不死を研究している謎の人物で、紆余曲折の末に拉致されたルパンはその拠点たるカリブの島にヒトラーやナポレオンらを発見、怪人がクローンで複製人間を作る技術を持っていることを知る。
 自らをコピーし続け一万年生きて来たと自称し自分を神とするマモーは、要求する情報を渡さないと自分の持つ核兵器を発射すると米ソを脅迫するが、拒否し続ける二大国に失望して、核兵器を発射して地球を壊滅させ、不二子とアダムとイヴとして生きるのだと宣言するが、事前に基地を把握していたルパンにより破壊されてしまう。肉体としては死ぬが巨大な脳として生き残るマモーはロケットで宇宙に出る。

出入りの激しい物語だが、ざっとまとめると以上のようなお話である。

さて、本作は声優や音楽の担当が第2シリーズ(その最中に作られたのだ当然)と同じである反面、画面・タッチ・ムードがアヴァンギャルドな第1シリーズに似て趣味性が極めて高く、この辺が好悪を激しく分ける要因で、万人向けの「カリオストロの城」と差が出る最大原因であろう。

にも拘らず、「カリオストロの城」の世評が本作に優ることに関して、【Yahoo!映画】のコメントで宮崎駿贔屓故といった邪推が散見される。しかし、好悪以外に、映像言語の扱いなど映画的にも段違いなのだから仕方がない。
 実際、同時代的に僕は「カリオストロの城」が作られる前に初めて観て(アルセーヌ・ルパンのロマンティシズムと比較したこともあり)凡作と評価したわけで、評価に宮崎駿が入る余地は一切関係ない。同時代の世評も、当然、同じことが言える。鑑賞順が前後する可能性がある昭和40年代以降の世代については当たらずと雖も遠からず、だろうか。

今回は40年前に観た時と違ってアルセーヌ・ルパンとの比較を敢えてせず、展開において頗るシュール(ダリの絵が途中で出て来るから言うわけではない)な面白さが満載であるところを買って★一つ分評価を上げてみた。不老不死への考えが哲学の俎上に載る(載るだけでそれ以上の発展はない)のも今となると興味深い。

最新作「THE FIRST」を内容的にシリーズ史上最大規模ではないかと述べたが、悪党が米ソを尻目に世界征服を企む初期007をファンタジー的に拡大化したような本作のほうが大規模だ。但し、荒唐無稽さが甚だしく、クローン技術という現実の科学を反映させつつもSFというよりファンタジー性が高い内容なので、単純に比較するのは意味がない。個人的な趣味で言わせてもらえば、「THE FIRST」くらいのミステリー性があったほうが楽しめる。

僕は判断が冷静なたちで、その結果好悪が極めて少ない(それも良し悪し)。例えば、最近車に入れるCDの変遷を綴ると、さだまさし、ディープ・パープル、ビル・エヴァンズ、ビートルズのセッション、昭和40年代女性歌謡曲歌手集、フランシス・レイの映画音楽集、シュープリームスのアンソロジー、エンヤ。今後は、レゲエのボブ・マーリー、ピノックのチェンバロ名曲集と続けようと思っている。新しいのが少ないのは嫌いなのではなく、聴く余裕がないということ。

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この記事へのコメント

2020年10月17日 20:42
次元がマリリン・ファンを発表した作品なので、足跡を残しておきます!(どういう理由か!)
テレビシリーズのときは、けっこう見ていましたよ。
蟷螂の斧
2020年10月17日 20:43
こんばんは。実は僕はこの作品が好きです(笑)。若い頃は「カリオストロの城」の方が好きでしたが。なぜでしょう?永遠の命を保とうとするマモーに止めを刺したからか?絶体絶命のルパンの命を救ったのが五右衛門の斬鉄剣の先端だからか?説明が難しいです。
最後に銭形警部と一緒に逃げるルパン。そしてエンディングテーマは三波春夫の「ルパン音頭」。オープニングの「ルパン三世のテーマ」(当時としては時代の最先端のシンセサイザー風)とのギャップも面白いです。

>僕は、あと1秒以下の差の幸運で死なずに済んだのであろうという経験を三回くらい

僕は二回です。ゼロ回と言う人は案外少ないでしょう。
オカピー
2020年10月18日 17:11
ボーさん、こんにちは。

>次元がマリリン・ファンを発表した作品なので、足跡を残しておきます!

思わぬ形で判明しましたね。脚本家が“よくやった!”と思いましたよ。
オカピー
2020年10月18日 17:31
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>実は僕はこの作品が好きです(笑)

多分マモーの声を西村晃が当てているからです(笑)。

僕は、アルセーヌ・ルパンの大ファンであったから、アニメとしての出来栄えいかんにかかわらず(出来栄えも実際良い)、「カリオストロの城」を買います。アルセーヌ・ルパンのファンが「カリオストロの城」以外のほうが好きといったら“もぐり”として会員証剥奪です(笑)。

>僕は二回です。ゼロ回と言う人は案外少ないでしょう。

一回目は、10歳くらいの時に氷の下に落ちたこと。泳げないのに何故か助かりました。その後肺炎にならずに良かった。
 二回目は、自転車で山のカーブを曲がり切れずガードレールに衝突。場合によっては崖を落ちたかもしれず、或いは倒れた後にバスが通ったので、ちょっとの差でした。
 三回目は、高校に入って三日目、信号を待てずに右側通行をしていた時に、向うから下を向いたままどんどんこちら側に寄って来た女性とハンドルが当たって転倒。そこへ車がやって来て自転車はぺちゃんこ。買ったばかりの腕時計が傷つきましたが、ぎりぎり助かる。反対側に倒れたら自転車だけでなく、人間もやられていました。これが一番ヒヤリとしたケースですね。車対僕の関係では当方が悪いのですが、車を運転していたどこかの教師は僕を学校まで連れて行き、自転車も弁償してくれました。個人的には申し訳ないと思っています。
 
実は小学生の時に、タクシーと衝突した反動でこちらに向ってきた車に轢かれたこともありました。幸い足を軽くこすっただけの軽傷で済みましたが、これももう少し左を歩いていたら危なかったですね。
ということで、都合4回が正解でした。

蟷螂の斧さんも車関係ですか?
浅野佑都
2020年10月18日 17:50
 僕も蟷螂の斧さんと一緒で、ドライなスラップスティック風味のこの第一作は好きですね!
トリッキーで外連味があって・・。
三波春夫が万博のテーマソングだけでなく、アニソンも歌うのだと知った記念すべき作品でもある(笑)

ただし、あくまでも寄席の漫談や紙切り芸の、色物として面白いなぁという意味です。
古典落語の真打が出てくれば、色褪せるに決まっています。

ルパンシリーズで(カリオストロの城と)人気を二分するという今の人の評価は、荒々しいタッチやエロティックなシーンも含め、テレビの第1シリーズや原作漫画への近さがノスタルジックに映り、下駄を履かせてるのではないですかね?
(もちろんそれもネットの後追い情報であり、彼らが60年代に漫画アクションを読んでいたはずはありませんが・・)

しかし、山田康雄のルパンの演技は本当に上手い。
現在のルパンである栗田寛一は、山田康雄のルパンを演じている時点でハンディキャップがありますが、それを差し引いても役者としての力の差は大きいと思います。
オカピー
2020年10月19日 17:25
浅野佑都さん、こんにちは。

>三波春夫

使われていることをすっかり忘れていました。僕らも当時の三波春夫より高齢になりましたね。

>色物として面白いなぁという意味です。
>古典落語の真打が出てくれば、色褪せるに決まっています。

“色物”という単語は、僕の使った“趣味性”という言葉に近いと思いますが、真打との比較は“実に巧いなあ”と思います。

>下駄を履かせてるのではないですかね?

もし若い人がそういうノスタルジーというか憧れというものを抱いているのであれば、あの漫画が60年代に、あのアニメが70年代初めに現れたという衝撃も知らずに・・・という感想を持ちますね。

>山田康雄のルパンの演技は本当に上手い。
>それを差し引いても役者としての力の差は大きい

そうですね。
 栗田貫一のルパンは前回のコラボレーション企画と最新作を見ただけですが、一聴して軽い。物真似が本業に転じた珍しいケースと思います。ビートルズを真似たラトルズ(エリック・アイドルらが結成)のメンバーが、ビートルズ再結成でジョンの代りをやるようなものでしょうか(笑)
蟷螂の斧
2020年10月19日 19:27
こんばんは。アルセーヌ・ルパン。僕は第1作しか読んだ事がないんですよ(苦笑)。

>氷の下に落ちたこと。ガードレールに衝突。ハンドルが当たって転倒。

危なかったですね。僕の場合1回目は車関係。2回目は人間関係。まあ、語るのはやめておきます。

>ドライなスラップスティック風味のこの第一作は好きですね!

浅野佑都さん。コメントをありがとうございます。

>山田康雄のルパンの演技は本当に上手い。

「マモー、感謝しな。やっと死ねたんだ。」あのセリフは山田康雄さん以外では無理です!
オカピー
2020年10月20日 17:49
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>アルセーヌ・ルパン。僕は第1作しか読んだ事がないんですよ

小学4年生くらいまでなら、流布している南洋一郎版で良いと思いますが、それ以上であれば、南洋一郎の別ペンネーム池田宣政によるシリーズが素敵です。但し、これは現在読むのが非常に難しい。

>あのセリフは山田康雄さん以外では無理です!

早く亡くなったのが惜しいですよね。

未だに「ルパン三世」は続いていますが、第二シリーズから声優として残っているのは小林清志のみ(第一シリーズでも担当)。ご高齢で少し声質が変わっていますが、頑張っています。