映画評「クロール-狂暴領域-」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年アメリカ=カナダ=セルビア合作映画 監督アレクサンドル・アジャ
ネタバレあり

WOWOWは韓国サスペンス特集とか、ホラー映画特集と銘打って放映するのだが、僕には逆効果で、単独でやってくれれば観るのもあるだろうに、特集で組まれるとassorted(詰め合わせ)のように感じられて特集自体を無視することが多い。
 本作は、たまたまサム・ライミが製作に絡んでいると知って観てみた。オールド・ファンだけにね、ライミのようなメジャーの名前が出て来ると弱いのでござる。監督のアレクサンドル・アジャも知っているが、人体破壊度が高いので好んでは観ない。彼は10年ほど前に「ピラニア3D」も製作・監督しているので、この手の話が好きなのであろう。

お話は最近のホラー映画らしく非常に単純。以下の如し。

巨大ハリケーン圏内に入ったフロリダ州。大学で競泳選手をする美人カヤ・スコデラリーオが、連絡の取れなくなった父親バリー・ペッパーを探しに、猛烈な風雨の襲う中、実家に向かう。しかし、そこにいないので、その前に一家で暮らしていた別の家に向かい、床下に瀕死の父親を発見する。
 父親が瀕死なのは下水道を通って現れたワニ(アリゲーター)のせいで、辛うじて二人は鉄管の柵でワニの入って来られない場所に逃げ込む。しかし、水はどんどん増えるばかりで、いつかは階上に出る必要があるが、それにはワニがうようよいる中を泳ぎ切らなければならない。しかも、それを達成しても思ったようなわけには行かず、災難が次々と振りかかって来る。

ロケ費用もキャスト費用も最小限に抑えられる為に一時大流行したソリッド・シチュエーション・スリラーの亜流(現在でもこのタイプのホラーは多いらしい)だが、次々とピンチを迎える辺りになかなかの工夫が見られる。
 ヒロインが水泳選手というのも良いアイデアだが、この手の他の作品同様ご都合主義的なのは、父親も娘もサバイバル術をよく知っていて怪我をした時に専門家のように鮮やかに対応する。こういう時に小人数編成の作品は弱い。大人数であれば、一人くらいそうした知識がある人がいても不思議ではないのだ。

非常に細かいところでは、携帯を拾った後柵の向こう側まで逃げてから911番(日本の110番に当たる)すれば良いものを、いつワニに襲われるか解らない場所ですぐに電話するのは知恵がない。こういう点が幾つかあるが、トータルでは「ピラニア3D」より脚本の出来が良いように思う。

傑作なのは、“お前はワニより速く泳げるはずだ”という父親の台詞。正に観ながら思っていたことなので、愉快になったでござる。

クロールは“(ワニが)這う”の意味で使っているのかと思ったが、水泳のクロールにも掛けた、ダブル・ミーニングらしい。因みに、日本語の“ほうほうの体(てい)というのは、昔漢字で“這ふ這ふの体”と書いた。

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