映画評「オーメン」(1976年版)

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1976年イギリス=アメリカ合作映画 監督リチャード・ドナー
ネタバレあり

2006年製作のリメイクを翌年に観ているが、こちらのオリジナルは40年ぶりくらいの再鑑賞。物語は殆ど違わないので、配役だけ変えたコピペで参りましょう。

米国外交官グレゴリー・ペックの妻リー・レミックがローマのカトリック系病院で死産をするが、時を同じくして生れた男児の母親が死んだ為に、彼は神父に紹介されたその子供を我が子として引き取り、ダミアンと名づける。
 5年後駐英大使に栄転した彼の記念パーティーで、子供の乳母が首を吊って死ぬという事件が起こり、代わりに初老ビリー・ホワイトローが乳母になった後、少年が教会に行くのを嫌がり、動物園の動物がダミアンを見て騒ぎ、大使に子供を始末しろと忠告した神父が串刺しになって死ぬなど、奇怪な事件が続く。
 リーがダミアン(ハーヴィー・スティーヴンズ)がわが子ではないと直感する一方、写真家デーヴィッド・ウォーナーから死んだ人々の写真に奇怪な共通点があることを教えられた大使は、ローマやエルサレムに飛んで、本格的な調査を開始する。

1973年に悪魔を主題にした「エクソシスト」が作られてオカルト映画ブームが始まったが、考えてみれば1968年に「ローズマリーの赤ちゃん」が悪魔族を扱っていて、本作は「エクソシスト」ではなく、その系譜にある。
 また「エクソシスト」が謂わば純文学悪魔映画であったのに対し、本作は写真家が絡むことでミステリー趣味が横溢し、不気味さもさることながら、大衆映画的に楽しめるところが多い。

リメイクも悪くなかったが、やはりこちらのほうが映画としてがっちり作られている印象はある。通俗的には「エクソシスト」より面白いかもしれない。ペックの大使が行動原理的に時々妙に見えるが、ぎりぎり許容範囲であろう。

「エクソシスト」をまだ取り上げていないのは、録画したはずのディスクが見つからないから。しかし、本当に録ったのだろうか? アントニオーニの「欲望」における謎みたいになってきた。

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この記事へのコメント

2020年09月22日 10:21
 重厚さと深遠さでは「エクソシスト」ですが、面白さでは断然、こちらでしょうね!
リチャード・ドナーは「スーパーマン」のパワフルな演出がの印象が強いですが、初期のこの作品のほうが後期よりも老成している感があります・・。

グレゴリー・ペックにとっては、それまでの「アメリカのnew良心 重厚さと深遠さでは「エクソシスト」ですが、面白さでは断然、こちらでしょうね!
リチャード・ドナーは「スーパーマン」のパワフルな演出がの印象が強いですが、初期のこの作品のほうが後期よりも老成している感があります・・。

グレゴリー・ペックにとっては、それまでの「アメリカのnew良心」

ダイナミックに演出されたショックシーンの数々や、走り続ける三輪車、木の葉を舞い散らす突風と落雷、黒犬といったアイテムと、それらにオーバーラップする儼乎たる混声合唱……。
今観ても色褪せない迫力で、先が分かっていても思わず腕の産毛が「ぞわり」と逆立つような不気味さがある・・。


事件の鍵を握る少年ダミアンを演じたのは、
当時6歳のハーヴェイ・スペンサー・スティーヴンス。
泣き狂う様子や微笑み方やらはいたいけな子供が
演じているとは思えない不気味さで、主役を張る
名優グレゴリー・ペックの重厚な演技にすら負けない
インパクト。いやはや、どうやって演技付けたのかねぇ。
しかし最終的にはやはり、グレゴリー・ペックや
その他熟達したキャストの演技によって『神と悪魔
の対決』という厳格さが醸し出されているのだと思う。

...

監督のリチャード・ドナーは『リーサルウェポン』や
『スーパーマン』など豪快なアクション作の印象が強い。
本作ではその特性がダイナミックな演出として発現して
プラスに働いているように思うが、映画キャリア初期に
あたる本作の方が後期の作品よりも老成しているように
感じられるのは、出演者や題材ゆえかね。

場面によってはやや演出が過剰と思えるシーンはあるし
(まあレビューしている自分が割とシンプルな演出
を好む人間というのもある)、聖書の記述を現実の
出来事に当て嵌めた解釈にはコジツケのようにも
感じる箇所もあり、「そこはいっそ曖昧なままの
方が不気味さが増したのでは」と考えたりもしたが……

幾つもの不穏な予兆をじわじわと熟成して繰り出される
ショックシーンの数々と、ダミアンの正体が解き明かさ
れていくミステリ的面白さを、畳み掛けるようなテンポ
で交互につづった本作。2019年現在のテンポの早い映画
に慣れた向きでもあまり冗長さを感じさせない出来だ。

厳格さとダイナミックさを併せ持った第一級の
古典オカルトホラー。未だ観て損無しの3.5判定で。

<了>
.
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余談:
そもそも何故 666 がキリスト教における不吉な数字と
されているかというと、新約聖書のヨハネの黙示録に
ある記載が由来とのこと。

それによると、まず世界の終末前に海から「角10本、
頭7本」の獣がやってくるんだそうな。角と頭の数
が合わないのでなんか気持ち悪いがそれはさておき、
獣の頭には神を冒涜する名前が幾つも刻まれており、
その獣が世界を42ヶ月間支配するという。その際、
人間に「0」か「666」という数字を刻んで、「666」
の数字が無い人間は物の売買が出来なくなるんだと。
早い話がマイナンバー制度の悪魔版ですね(違う)。
その後、獣は天使ミカエル達との戦いに敗れるのだが、
そんな流れで 666 は「獣の数字」と呼ばれ、反キリスト
的な意味合いを持つ数字として定着しているらしい。
なぜ6なのか、なぜ3つ揃えるかには諸説ある様子。
いちおう本作の中でもいち解釈が語られてます。

なお、しばしば世界の終末の予言のように扱われる
このヨハネの黙示録だが、一方でこれが未来の予言
ではなく既に起こった出来事と解釈する説もある。
その説によれば、ここで言う“獣”とは当時キリスト教を
激しく弾圧していたローマ皇帝達の隠喩であり、「いずれ
キリスト教を弾圧するヤツは滅ぶから皆負けるなや!」
的な立ち位置で書かれたと考えられているとか。

どちらを信じるか信じ