映画評「レッドタートル ある島の物語」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年フランス=日本=ベルギー合作映画 監督マイケル・デュドク・ド・ヴィット
ネタバレあり

何とスタジオジブリが製作に絡んでいる。製作に絡んでいるが、アニメ制作はフランスのアニメ制作会社の担当なので、ジプリ映画と言うには躊躇する。ただ、高畑勲の事前のチェックを受けたらしいので、その意味ではジブリ映画と言っても良いのであろう。

海で遭難した一人の男が、動植物はたくさんいる無人島に漂着。筏で島からの脱出を図るも、どうも赤ウミガメに邪魔をされるようで頓挫。これに激怒した男は、上陸した赤ガメをひっくり返すが、殆ど息絶えたようになったカメを見て気の毒に思って庇護するうち、裏の甲羅が割れ、そこから人間の女性が姿を現し、やがて目覚める。彼女は親切にしてくれた男に感謝して結ばれ、やがて子供が生まれる。
 時が流れて少年に、少年から青年になった息子は、漂着したビンから島の外に別の世界のあることに気付き、大津波の後彼は両親に別れを告げて旅に出る。それから長い年月が経ち年老いた夫婦のうち夫が先に死ぬ。彼女はカメに戻って海に出ていく。

世界中で多い、異類婚姻譚である。台詞が全くないのでどこの国の作品か、あるいは男がどこの人なのか全く解らない。キャラクターの造作にしても点のような目があるだけで、人種を特定できるものがない。そうした民族性排除は本作が普遍性を求めた結果なのかもしれない。

実際、本作が見せるのは、ごく普通の家族のとりたてて変わったところのない人生行路であり、特殊をもって普遍を見せる典型的な内容になっている。かくして注目に値するがとりたてて面白いと言えるお話ではないので、画面の芸術性が価値の大半を担うだろう。
 フレンチ・アニメは大体において人物をミニマルに描く一方で、背景は圧倒的なほど精細で美麗に見せる作品が多いが、本作は背景もミニマル傾向である。しかし、それはそれで魅力的で、内容面でも人の真似をする蟹の描写がユーモラスで楽しい。

監督の名前は"de"が映画サイト等でドゥと表記されているが、寧ろこの表記は母音が強調される感じがするので、マルキ・ド・サド等に倣ってドとする。“ド”と書いてオリジナル(に近いもの)の発音をすれば良いのである。

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