映画評「アヴリルと奇妙な世界」

☆☆★(5点/10点満点中)
2015年フランス=カナダ=ベルギー合作映画 監督クリスチャン・デスマール、フランク・エキンジ
ネタバレあり

3か月前に観た「ディリリとパリの時間旅行」と重なるところが多いフレンチ・アニメで、大昔のフランス製「やぶにらみの暴君」(1951年)やチェコ製「悪魔の発明」(1958年)という旧作を思わせるSF系列だが、僕の趣味としては純冒険ものであった「ディリリ」ほど楽しめない。

ナポレオン三世が、不死の兵隊を作るプロジェクトを進めている科学者ギュスターヴの許を訪れ、いらだって設備を破壊した為に研究室が爆破して亡くなった為に普仏戦争が起こらない。何故かその後世界的な科学者が次々と誘拐された結果19世紀中葉以降の科学進展がない時代が続いている。ギュスターヴの孫夫婦が相変わらず不老不死の血清開発に勤しんでいるが、国の為に働かそうと探している刑事から逃亡するうちに老父ポップス(声:ジャン・ロシュフォール)とはぐれ、夫婦が亡くなってしまう。
 十年くらい後その娘アブリル(声:マリオン・コティヤール)は、曽祖父の血清で口が利けるようになった猫ダーウィン(声:フィリップ・カトリーヌ)と共に、血清の完成を進めているのだが、官憲や謎の一団に追われるうちにポップスとも再会、死んだはずの父親からも通信がある。
 実は夫婦揃ってある陰謀団に拉致されたのだが、父親は牢獄にい、母親だけが組織の下で研究を続けているが、どうにも不老不死の血清はできない。ところが、アブリルの血清が組織のスパイ鼠を蘇生させたことから、組織の追求の手が厳しくなってくる。彼女を助けようとやってくるのが、実は刑事のスパイである若者ジュリウス(声:マルク=アンドレ・グロンダン)で、為に巡査に格下げになった刑事も絡んでき、かくして激しい争奪戦が始まる。

何が気に入らないと言って、キャラクター造作の可愛げのなさに尽きる。欧米アニメは概してそういう傾向にあるが、特にフランス製はいただけません。その点「ディリリ」は例外的に可愛げがあった。詳細な背景はフレンチ・アニメの例に洩れず、微細至極で魅力的。話に乗れない人はここを観るべし。

お話のほうも、「ディリリ」と、女の子が陰謀団に対抗すべく冒険を繰り広げるというアウトラインが似ているが、実在の人物が絡んで来る冒険模様がわがロマン嗜好を完全に満足させてくれた同作に対し、着想こそそこそこ新味・面白味があるとは言え、冒険内容が活劇調すぎて些か散文的、余りわくわくさせてくれない。趣味の問題と言ってしまえばそれまでだが。

「ハリー・ポッター」以降「~と~」という邦題が児童ものを中心に目立つ。“~かなと思う”という感心できない言い方があっと言う間に世代を超えて広まったように、日本人は本当に流行に弱いと言おうか、同調しがちである。本作は原題通りだけどね。

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