映画評「ハリウッド玉手箱」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1944年アメリカ映画 監督デルマー・デーヴィス
ネタバレあり

フランスのレジスタンスがドイツ軍に敵対している1944年(昨日の「鉄路の闘い」)に、アメリカ国内ではこの映画が虚実織り交ぜて紹介することが行われていた。
 風景の捉え方がうまい、西部劇を得意にした監督というイメージのあるデルマー・デーヴィスが、こんな音楽映画も発表していたとは、少々意外な感あり。戦時中にベティ・デーヴィスを会長格に創設されたというハリウッド食堂を舞台というか、主題にした広い意味でのミュージカルである。

この手の作品は大概観ているが、本作は実は初めてで、1930年代の「ゴールド・ディガーズ」シリーズ(本作と同じくワーナー・ブラザーズの音楽映画)に似た感じもある。

ニューギニアで日本軍と戦っていた米陸軍の伍長ロバート・ハットンと軍曹ディーン・クラークが休暇を貰って、普段から憧れるハリウッドへ行き、兵隊が無料で入場できる食堂(キャンティーン)に歓待される。兵隊の為に創設された食堂は芸能人がボランティアで給仕等をし、同時にキャバレーとして歌や踊りが楽しめるという仕組みで、これは実際に行われていたものらしい。

架空のキャラクターを宛がわれたこの二人以外はワーナー・ブラザーズ所属の芸能人たちが本人役で大量に出て来る効率の良い作り方で、食堂の進行役に当たるジョン・ガーフィールドが、美人女優ジョーン・レスリーを彼女に憧れる伍長のハットンの為にキスできるサーヴィスを考え出したりする。これが噓から出た実(まこと)の伝で、最後には彼が戦地へ戻っていく列車を見送りにやって来る仲となる。軍曹も新人女優実はスタジオの案内嬢ジャニス・ペイジ(そうそう、彼女も架空の人物役ですな)と仲良くなる。

日本も芸能人の慰問は盛んに行われたらしいが、こんな洒落たことはなかっただろう。しかし、この映画のような接待であれば、ある意味非常に残酷で、憧れの美人女優とデートしたりすれば戦場へ戻る気などしなくなるのではないか。せいぜい我々のように映画で観るのが良い。

披露される演目の中では、モダン・バレエのダンサーらしいジョーン・マクラッケンの所狭しと駆けずり回る一連の踊りが凄い。「イースターパレード」のジュディー・ガーランドも顔負けである。他社の西部劇俳優ロイ・ロジャーズが愛馬トリッガー(戦後漸く同名の邦題で主演作が公開された)に乗って活躍する場面もあるが、戦後生まれの僕らにはピンと来ない。僕には、それより、比較的長丁場に披露される有名なアンドリューズ・シスターズ(三姉妹)が、互いに似ているなあ・・・と顔を見ているだけで楽しめた。

日本人としては時々吐かれる"Jap"という単語が気になりますが、全体としては誠に罪のない作品でございます。

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