映画評「おかあさんの木」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・磯村一路
ネタバレあり

WOWOWのパンフレットで監督と主演者の名前、アウトラインを読んだ時観た記憶があると思ったが、自分のブログにも記事をすぐに発見できなかったし、IMDbの投票記録もなかった。実際に観た後も、観た記憶があるようなないような、こんな経験は初めてである。これに似た映画はあっただろうか? 僅か5年前の作品で、観たとしたら4年前くらいだから、不思議な事この上ない。

大正の初めに郵便局員・田村謙二郎(平岳大)と結婚したミツ(鈴木京香)は、7人の息子を儲け、一人は子供のできない姉に養子に出す。夫に急死された後きちんと育てた子供は、養子に出した子供を含めて全員兵隊に取られ、五郎を除いて全員戦死される。しかし、彼女はその五郎をさえ生きて迎えることはない。

という悲劇が、復員した五郎と結婚し、現在は一人老人ホームに暮らす郵便局長の娘サユリ(奈良岡朋子、少女時代:志田未来)の語る話として聞かされる。
 何故そういう話がされるかと言うと、彼女に所有権がある古い桐の木を区画整理の為に切らせてほしいと市と県の職員がお伺いに老人ホームに訪ねるからである。その木は7本あり、子供達が出征する度にミツが植えたものなので、子供たちの生への思いを込めた重みを知るサユリにはそれは到底認められるものではない。

原作は大川悦生の児童文学。最後の親子の生死すれ違いは少し作り過ぎのような印象があるが、地方にはミツと似た経験をした母親が結構いたのではないだろうか。
 僕の母方の祖母は、ミツより幾つか年下に当たり、9人の子供を設けた。女5人男4人という構成で、長男(母の上)だけが出征経験がある。幸い無事に生還して、後年色々とお世話になった。
 こういう映画に対し一部に自虐史観という意見もあるかもしれないが、たまたまこの映画を観た後放送されたNHK「たけしのその時カメラは回っていた」で紹介されたエピソードやビートたけしの母親の述べたことがそのまま目の前で繰り広げられる。自虐でも何でもない。
 IMDbでの投票結果は5.2と芳しくない。外国人を含めた評価はともかく、日本人であればこのお話に作者がこめた思いは解るであろう、否、解らないと困る。

序盤は展開ぶりや画面がNHKの朝のTV小説のような感じでやや弱いものの、だんだん馴染んでくる。磯村一路らしい叙情的な作品。

日本の勝利に疑問を挟むだけで非国民と言われた時代。そんな時代が二度とやって来ないよう願う。舞台は長野県。“めた”というこの辺りでも使う副詞(どんどん/やたらに多く、の意味)が出て来るが、語尾が上州弁ではないので、近県と思っていた。

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