映画評「ターミネーター:ニュー・フェイト」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2019年アメリカ映画 監督ティム・ミラー
ネタバレあり

本稿の短さから推測できるように、腹蔵なく言えば、このシリーズにはもううんざりなのである。評判の良い第一作・第二作も世評ほど買っていないからなおさら。と言いながら、いざ観始めると意外といける。

未来世界から女サイボーグのグレース(マッケンジー・デーヴィス)が、人類の将来の為に欠かせないメキシコ美女ダニエラ(ナタリア・レイエス)を、同じく未来からやって来る不滅のロボット REV-9(ガブリエル・ルナ)から守る為に現れる。それに協力するのがすっかりおばあさんになったリンダ・ハミルトンのサラ・コナーで、彼女に通信してくる人物を訪れると、何と息子を殺した仇敵T-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)と判明。彼らはREV-9を倒す為に今はすっかり人類の味方になったT-800と一致協力し、敵に立ち向かう。

この映画の肝はグレースとダニエラと関連性で、ここに面白味が集約されているが、惜しむらくは、全体が旧作の焼き直しに過ぎない。非常にストレートな展開ぶりで着地点が明快、観ていて力が入るように出来てはいるものの、三番煎じくらいではニコニコもしていられないのである。

もう一つ気に入らないのは、終盤のなが~い一連のアクションがずっと暗いところで行われること。最近のCG映画にはこの類が多く、一部に拙いCGを隠す為と仰る人もいるが、その正否はともかく、暗い画面では見栄えがしないのは間違いない。

新旧のターミネーターも活躍するが、それにしても三人の女性たちの精神的に強いこと強いこと。これも昨今流行のフェミニズム映画なのであった。同時に、カールおじさんこと T-800 が無数の武器を見せて“家族を守る為にはこれが必要なのだ”と言う箇所がある。アメリカライフル協会が喜んだことでしょう。アメリカ映画は、アメリカの現状を色々と反映して興味深いケースが多い。

原題は dark fate(お先真っ暗)とネガティヴなのに、邦題はニュー・フェイト(運命刷新)とポジティヴ。面白い対照と言うべし。

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この記事へのコメント

2020年08月21日 22:54
フェミ風味濃厚でしたね。昔なら男三人でやったような話を女三人でやってるというか。おかしかったのは、シュワルツェネッガーが相手の攻撃から守ろうと自分の身を盾にしてかばったときに、リンダ・ハミルトンが「わたしに触らないでよ!」とセクハラ撃退的に怒鳴るところで、劇中では息子を殺した憎きターミネーターだから無理はないんですけれど、昨今の男の哀しさをそれとなくにじませた場面にも見えました。
2020年08月21日 23:15
>昨今流行のフェミニズム映画

それを30年以上前からやり続けきたのがジェームズ・キャメロンなんですけどね
オカピー
2020年08月22日 18:20
nesskoさん、こんにちは。

>昔なら男三人でやったような話を女三人でやってるというか。

全く仰る通り。
 次の名無しの権兵衛さんは、ジェームズ・キャメロンが昔からやっていることと言いますが、異論ありです。
 あの当時は、先行するジョン・カサヴェテスの「グロリア」も、「ターミネーター」も「エイリアン2」も、女性が一人頑張ると格好良いという意識で作られた。必ずしもアンチ男性ではなかったわけです。そこにフェミニズムが胚胎していたと言えないこともないですが。

>昨今の男の哀しさをそれとなくにじませた場面にも見えました。

若い男性が草食系になるのもむべなるかな(笑)
オカピー
2020年08月22日 18:24
名無しさん、こんにちは。

>れを30年以上前からやり続けきたのがジェームズ・キャメロン

広義ではそういうことになりますが、現在の政治思想的なそれとは違うと思います。米国民主党が嫌いなわけではないですが、映画でこう露骨に扱われると、ちょっと厭らしい感じがします。