映画評「麻雀放浪記2020」

☆☆(4点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・白石和彌
ネタバレあり

和田誠が映画化した阿佐田哲也の小説の再映画化と思いきや、SF的翻案といったほうが近い。最近僕が注目している白石和彌が監督、にもかかわらず、キャッチャー・フライくらいの出来である。

1945年12月荒廃した戦後の雀荘でマージャンをしていた斎藤工が、ポーカーにおけるストレートフラッシュくらいに相当するのではないか、とマージャン音痴の僕が思う、九蓮宝燈を出した瞬間に落雷、2020年にタイムスリップしてしまう。

本作が異色なのはただ2020年にタイムスリップするのではなく、その世界がパラレル・ワールドだということである。製作が2019年だからパラレル・ワールドと断定はできないものの、戦争(第三次世界大戦?)に巻き込まれた後の日本という設定だからパラレル・ワールドと断じて間違いないだろう。

傑作なのは、戦後の落ち込む日本で開催はどうかという理由でオリンピックが中止、その代わりにAIを搭載した美人ヒューマノイド(ベッキー)を交えて麻雀選手権が開かれるのだが、無観客で開催するという設定である。理由こそ不正防止ながら、製作一年後の今を予言したようではないか。

しかし、実際にはこれが興味深いだけで、後は竹中直人が騒ぎまわるドタバタばかり、麻雀用語が全く解らないこともあって、一向に面白くない。

白石監督を筆頭に脚本を書いた三人組が現在の政治風刺を見せようとしたのではないかと思わせるところが多いが、コメディー仕立てであれば、このようなに直球ではなく、その風刺が滲み出るように作らないと空回りする。

脚本家の不勉強?が伺われるのは、日本のAIは米国や中国から6周遅れている(昨年の「朝まで生テレビ」でのパネリストの発言)現状で、いかにパラレル・ワールドと言っても、2020年に日本がAIで世界をリードするなどという政治家・実業家(何年か前に某首相が言っていたような気がするが、その時からずっと後退した)が出て来るのは首を傾げさせる。某首相の発言のパロディーと考えられないこともないわけだが。

他の共演者は、もも、的場浩司、小松政夫など。

メトロポリス」(1927年)ともう一作のパロディーっぽいところがあるが、もう一作はもう忘れた。見直す気にもならんし。

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