映画評「i 新聞記者ドキュメント」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・森達也
ネタバレあり

劇映画「新聞記者」の原案になった著書を書いた東京新聞社会部記者・望月衣塑子が、安倍政権で発生した案件若しくはその政権下で起きた間接的事件を追及する様子を捉えた森達也監督のドキュメンタリーである。

森監督はオウム真理教信者に密着した「A」「A2」を撮った人で、興味を持っているものの、静かにTVに出て来るのを待っている為、今までのところ未見のまま。本作がWOWOWで観られたのは、劇映画「新聞記者」の放映につけた、おまけみたいなものだろう。

さて、AllcinemaのKH氏に少し反するが、望月女史(こう書くと、フェミニストが怒るが)のパワフルさに圧倒された。官邸記者クラブにおける、保身的で借りて来た猫のように大人しい男性政治部記者のできない質問をする。普通の人が疑問に思うことを質問する。僕は彼女の良い意味で傍若無人の態度は、閉塞的な新聞メディアに風穴を開けたように感じる(昨日も同じことを書きました。どうもすみません)のである。

パワフルさを感じることにも意味がある。彼女が何故そこまで頑張るのかという疑問が、庶民感覚で伏魔殿(by 田中真紀子元外務大臣)に見える政治が現在そこにあるからであろう、という自分なりの解答に導かれる。

彼女を天敵とする菅官房長官の言うことは、安倍首相も似たようなものだが、詭弁(解らないことを確認を求めると、事実誤認などと噛み合わないことを言う。解らないから質問をするのである)も良いところで、庶民を馬鹿にするこの態度に疑問を持たず腹を立てない人々(8%のコアな安倍政権支持者)の方が余程非国民である。彼女の質問は、庶民の生活感情レベルでの問い・確認に過ぎないではないか?
 質問が長いということで妨害や制限を受けるようになるが、内閣や菅氏が詭弁を弄するから質問が発生し若しくは長くなり、進行役が妨害するから益々長くなるのである。
 森監督が記者クラブに入ろう(入室を認めてもらおう)と悪戦苦闘する箇所もなかなか興味深い。

全体として、Allcinemaのどなたがが仰るように、望月個人を追い、ファクトのみを切り取った抑制的な作り方であって、特段反権力的でもないから、権力批判的な立場の映画として欧米のドキュメンタリーのような迫力は感じにくく(政治への様々な疑問は当然感じる)、弊ブログを訪れる一般的な映画ファンには強くお勧めしかねる。

題名の最初の“i”は望月衣塑子の名前を指すのだろう。しかし、なかなか漢字にするのが面倒くさい名前で困ります。

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