映画評「パラダイス・ネクスト」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年日本≒台湾合作映画 監督・半野喜弘
ネタバレあり

監督をした半野喜弘は(映画)音楽家だそうである。脚本家や撮影監督から監督に進出する人は多いが、音楽家は珍しい。

台湾でヤクザの子分をしている豊川悦司の前に、よく喋る青年・妻夫木聡が現れる。豊川の知り合いである女性を毒殺した後、それを命じた暴力団から訳ありで逃げて来たらしいが、暴力団はボスを含めて台湾にも現れ、豊川の与する台湾ヤクザと交渉を持つ。何故か豚肉を積んだトラックで避難先に向かい、近くの料理屋でその女性に似た少女(若い女性)ニッキー・シエと親しくなり、三人で海浜地帯に繰り出すことになる。

行間を読ませるというより説明がひどく足りない作品で、日本時代のことはともかく、暴力団が殺され、台湾ヤクザも殺されたようで、とにかくよく解らないうちに、どことなく愛らしいニッキーちゃんも旅先でどういうわけか死ぬ。妻夫木はニッキーちゃんの死体を小舟に乗せて海に出ていく。

茫洋とした夢のような、絶望からの逃避を描く内容は、70年代初めのにっかつ青春アクションを思い出させるが、かの作品群のように活劇調ではなく、長回し部分は中国のジャ・ジャンクー、全体の沈滞した叙情ムードは台湾のホウ・シャオシェンのような感じ。
 と思っていたら、半野氏は実際に二人の映画のスコアを書いたことがあるらしい。二人の影響下にあるのは間違いないが、ジャは長回しにぐっとうまく人物の心情を沈潜させるし、ホウはこんなに舌足らずではない。ムード醸成は悪くないので、お二人が好きなアート系ファンは見ても良いが、目が肥えているので物足りなく思うだろう。

終盤3人で繰り出し女性が死んでしまうところは、「冒険者たち」劣悪版のごとし。どこか作者の頭の片隅にかの名作があったのは間違いない。「冒険者たち」をやたらに引き合いに出すのも能がないが、実際にかの作品が後世の映画に与えた影響は僕の考える以上に大きいのかもしれない。

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