映画評「ゴールデン・リバー」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年フランス=スペイン=ルーマニア=ベルギー=アメリカ合作映画 監督ジャック・オーディアール
ネタバレあり

今、映画界はグローバルの時代だから欧州各国の資本でアメリカを舞台に作られる作品が多い。かつてのヨーロッパ製西部劇も同じで、本作など昔なら(アメリカが製作に絡んでいるとは言え)ヨーロッパ製西部劇とでも言うべき内容ながら、当然グローバルの現在では主要キャストを英米で占めている為にムード的にも本場アメリカそのもの。反面、お話そのものは従来の西部劇と一味違う、ということを言っておくべきだろう。

1851年。提督”と言われる雇い主に命じられ、シスターズという変な名前の殺し屋兄イーライ(ジョン・C・ライリー)と弟チャーリー(ホアキン・フェニックス)が、偵察人モリス(ジェイク・ギレンホール)が探し出した男ウォーム(リズ・アーメッド)を仕留める仕事をこなす為に、オレゴン準州からゴールドラッシュに沸くカリフォルニア州を目指す。
 ウォームという男を求める輩が多いのは、彼が川底にある砂金を効果的に探す為の化学薬品を持っているからと判明、まずモリスが彼と馴染んで姿をくらましてしまい、やっとその二人を探し出した兄弟も彼等と意気投合する。しかし、弟が調子にのって薬剤を撒きすぎた為に川にいた二人はすぐに重症に陥り翌日亡くなり、チャーリー自身も利き手を切断する羽目になる。
 かくして、元々殺し屋稼業を引退する気になっていたイーライに引っ張られる形で兄弟は老母(キャロル・ケイン)の許に戻り、漸くの憩いを得るのだ。

というお話で、帰郷する前に兄弟が「ガルシアの首」よろしく数多くの死者を出す原因を作った“提督”(ルトガー・ハウアー)をやっつけようと思って乗り込んだら、そのご本人が既に死んでいたという展開に得も言われぬユーモアと共に欲望の果ての空しさが浮かび上がり、兄弟が家に戻ってやっと安心を得る幕切れの穏やかさにじーんとさせられる。滋味溢れる終盤と言うべし。

不満としては、ジャック・オーディアール監督の作品にままあることなのだが、シークエンスの繋ぎが不親切で行間を読ませるというより説明不足の感が強いところがあること、暗い場面が多いこと。しかし、暗い場面に絵的に優れたショットが多い、というちょっと変な結果にもなっているので、一概に悪いと言い切れない。僕の長い映画鑑賞歴の中でもこういうのは余り例がない。

シスターズという姓は本当にあるのかな?

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