映画評「情炎の女サロメ」

☆★(3点/10点満点中)
1953年アメリカ映画 監督ウィリアム・ディターレ
ネタバレあり

図書館DVDシリーズその1。

主演のリタ・ヘイワースが製作に絡んだ意欲作なのだが、全くいけない。僕が観ようと思った理由は通常とは全く逆で、双葉十三郎先生が☆★(25点相当)という滅多に出さない低得点だから。
 双葉さんもこの採点方式を公式に始めて数年程度で、まだ振れ幅が大きかった時代ではあるし、僕はもう少し高い採点(双葉式採点方で☆☆★★)をすることにしたが、コメントについては全く仰る通りで、一言一句同じコメントを繰り返さざるを得ない。
 現に、読む前に即ち鑑賞中に“ウィリアム・ディターレの演出が無気力だ”とぶつぶつ言っていたのだが、鑑賞後にチェックすると演出について無気力の指摘あり。いやあ、双葉ファンとしては嬉しいですなあ。

お話は、聖書由来でオスカー・ワイルドの戯曲が一番有名なサロメと予言者ヨハネを巡る挿話であるが、これが実に噴飯もの。経緯をちょっと記す。

ローマを追われたガリラヤの姫サロメ(リタ・ヘイワース)が、ヨハネの知り合いである統治官スチュワート・グレンジャーと親しくなる。王ヘロデ・フィリッポス(チャールズ・ロートン)がその予言を恐れて危害を加えようとしないヨハネが先王の弟と結婚した不貞をネタに王家批判を繰り返すことに体制転覆の兆しを感ずる王妃へロディア(ジュディス・アンダースン)は、サロメを唆して彼女(兄王の娘)にぞっこんの王にヨハネを殺させるよう仕向ける。

というところまではほぼ従来のお話通りだが、この作品の新解釈では、サロメはヨハネではなく統治官に夢中で、彼と一緒に獄中のヨハネの説教を聞いて考えを変え、有名な七枚のヴェールの踊りを踊った後王に釈放を懇願するつもりが、その前に殺されたヨハネの首を見て驚く。やがて彼女は統治官と一緒にキリストの説教を聞く。

ヨハネを巡る経緯も従来のものとさして変わるわけではないが、サロメの心情は全然違い、心服するようになったヨハネを何とか助けようとし、それが果たせないと彼が予言した救世主キリストに心服する。

要は、サロメを通じてキリスト教事始めを見せようとした実に愚かしい脚色で、「ベン・ハー」の出来の悪いバージョンを見ている如し。サロメに関する知識があればあるほど、非キリスト教信者は辟易し、キリスト教信者は馬鹿らしくて観続ける気にもならないだろう。

リタの踊りが眼目だったようだが、これも意外なほど面白味なし。彼女が主演した昔のミュージカル「カバーガール」(1944年)でもを見た方が遥かによろしい。

双葉師匠の採点で一番低いのは、フランス映画「ヨシワラ」(1936年製作46年本邦公開)の★★(10点相当)。僕が1970年代初め「スクリーン」を買い始めてから最高点が☆☆☆☆(80点相当)、最低点が☆☆★★★(55点相当)という感じ(それ以外は例外的)だったので、この星は異様に低いのだ。

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