映画評「ワイルド・ビル」

☆☆★(5点/10点満点中)
1995年アメリカ映画 監督ウォルター・ヒル
ネタバレあり

ワイルド・ビル・ヒコックの伝記映画、必然的に西部劇である。
 ウォルター・ヒルが監督を務め、「平原児」(1936年)でお馴染みの有名人のお話で、人気俳優も出ているが、日本劇場未公開と知ってからどうも手が伸びにくい状態だった。このところスケジュールが開いているので、大分前に録っておいたものを見る。

序盤は駆け足的にヒコック(ジェフ・ブリッジス)の武勇伝を、その葬儀における英国人の友人(ジョン・ハート)の回想により、綴る。
 彼はゴールドラッシュに沸くサウスダコタ州デッドウッドにやって来て、恋人カラミティ・ジェーン(エレン・バーキン)と再会する。そこへ母親スザンナ(ダイアン・レイン)を捨てた男として彼を逆恨みする若者ジャック・マッコール(デーヴィッド・アークェット)が現れる。
 ヒコックは若者に絡んだ数々のピンチを掻い潜るが、最後に若者を助けてやったのが運の尽き、ジェーンの酒場で、隠し持っていたピストルで撃ち殺される。

という梗概は「平原児」に似ているが、大いに違うのは、射殺犯の母親スザンナとの関係をかなり丁寧に描いていることである。ちょっと大げさに言えば、カラミティ・ジェーンとの関係を含めて、恋愛心理映画と言っても良いくらい。
 スザンナ自身は死ぬまで彼を思っていたとは言え、捨てられたという意識がなかったのに、息子のジャックが母の死を受けて暴走したという印象。母親がヒコックの恋人だったというのは、原作となったピート・デクスターによる「デッドウッド」なる小説の創作ではないかと思う。

いずれにしても、30代にして緑内障を患い、アヘン窟に入り浸りという西部の英雄にあるまじき惨めな様子が中心で、ジャックを卑怯な手で殺そうとしたり、そこへ恋愛心理まで絡んでくるのでは、ヒコックを良く知る人には大いに幻滅であろうし、一般的な西部劇ファンも期待する爽快さとは程遠い内容に、気勢が上がらないこと甚だしいであろう。

銃撃の場面はヒルらしくきちんと処理されているが、彼が白昼夢に見る過去の場面が、ボケボケかつ高露出過ぎて白飛びを起こし見にくいモノクロ(ヒコックの夢であり、意図的であるのは勿論解っている)で語られるのが有難くない。モノクロは結構だが、折角のダイアン・レインがあれではダイナシ(台無し)・レインだ。

昨日の「選挙の勝ち方教えます」のヒロインはカラミティ・ジェーンというあだ名を持っていたが、今度は本物が出て来た。面白い偶然だね。そうそう、昔からビートルズの「ザ・コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロー・ビル」を聴くと必ずワイルド・ビル・ヒコックを思い出す。

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