映画評「マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年アメリカ=イギリス合作映画 監督オル・パーカー
ネタバレあり

ビートルズの楽曲だけでミュージカル化した「アクロス・ザ・ユニバース」(2007年)が余りに素晴らしい為、楽曲への思い入れの違いがあることもあり、ABBAの楽曲だけで構成された「マンマ・ミーア!」(2008年)は多少見劣りしようか。しかし、矢継ぎ早に繰り出される楽曲は大いに楽しんだものだ。

続編の本作はベテラン連中は後方に引っ込み若手が活躍する一方、前作で花嫁となろうとしていたソフィー(アマンダ・セイフライド)の母親ドナ(メリル・ストリープ)の若い頃(リリー・ジェームズ)のアヴァンチュールを中心に描く恋愛映画の要素が強く、楽曲の数は半減しているような印象(実際には24曲から18曲に減っただけらしい)。 
 しかも、恐らくはLPのみに収録されているのであろう、僕の知らないバラード系の曲が多いので、前作ほど歌って踊ってという感覚は低く、テンションが上がりにくい。

舞台は現在ではなく、Wkipediaによれば、ソフィーの現年齢は25歳。この映画では母親ドナは1979年頃に妊娠しているので、2005年頃のお話ということになる。

脚本を書き監督もしたオル・パーカーの狙いは、母親ドナと三人の父親候補との関係を描いてみることだが、いきなり意気消沈させるのはドナを故人としてしまったことである。いま流行りの回想形式にしなかったのは正解なのかもしれないと思う一方で、例えば、重病などで直接的なホテル経営から手を引いたドナが若い自分の経験を、ホテルの新装開店にあくせくする娘ソフィーに語るという構成にしたほうがぐっと馴染みやすくなったような気がする。

大雨などでマッチさせる形で現在と過去を繋ぐところもあるが、現在と過去の往復に唐突感が目立つところが多く、かつ、往来の回数が多すぎてやや落ち着かない。おかげで、往来するうち、ドナが付き合った三人のうち明らかに北欧青年のビル(若い時ジョシュ・ディラン、現在ステラン・スカルスゴード)以外はどちらがどちらか解らなくなり、お話に没入しにくいところが出て来る。

最後はここ30年ほど殆ど様子の変わらないシェールが祖母役で登場する(娘役のメリルとは3歳しか違わないのに)。

自分でも意外だったことに、前言にやや反するのだが(笑)、故人という設定が映画的にではなく個人的に奏功して、新装開店のパーティーに(幻想の)ドナ、というよりメリル・ストリープが出現して歌い出したところで何故か涙が出て来た。Allcinemaにも同じようなことを仰る御仁がいらした。前作が特段に気に入ったわけでも、メリルのファンというわけでもないのに、実に不思議だ。

邦題では原題 Here We Go Again から Again がなくなり、どうも落ち着かない。

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この記事へのコメント

2020年05月31日 21:43
2018年マイベスト。
1作目も大好きでしたから。たしかに楽しさはダウンしたように思えます。
静かな曲が増えました。
しかも、はじめっから、ドナが、まさかの…ですから。
ラストの「泣かせ」のためにそうしたのか!? とも勘繰られてしまいます。
私は現在と過去のシンクロ具合は好きです。
浅野佑都
2020年06月01日 04:08
 ABBAの全盛期でも、僕自身、それほど好んで聴かなかったこともあり、前作もそこそこの評価でした(と言っても、曲自体はほとんど覚えているものが多かったので、劇場では一緒に口ずさみたくなる衝動を抑えねばならなかったのは、流石、ABBAというところか・・)
実際、僕の後ろの女性は歌っていましたからね!
別に貴女の歌は聴きたくない、と思いましたが(笑)

>30年ほど殆ど様子の変わらないシェール
‥確かに(笑)プロフェッサーの表現におかしみが・・。
「核戦争後に生き残るのはゴキブリとシェールだ」と揶揄されていますね。
メリルとの共演作で「シルクウッド」を思われた人も多いかと・・。
シェールが登場したあたりからラストにかけては、前作以上に良かったと思います。
僕には女優としてよりも、歌手としてのイメージが強いシェールですが、「月の輝く夜に」の彼女は素敵でしたね。
メリルはじめ、歌自慢のキャストがそろった今作品の中でも、彼女が歌った「悲しきフェルナンド」はやはり、別格に上手い。

メリルの若いころを演じたリリー・ジェームズは頑張っていましたが、もうちょっと雰囲気の似てる人のほうが・・。
メリルは、若い時の馬渕晴子に似ていると思います。

他の出演者もおおむね健闘していて、アンディ・ガルシアなども、「ブラック・レイン」で高倉健と、レイ・チャールズの「What'd I Say」を歌ったときも上手かったですが、今回もさすが・・。

ピアーズ・ブロスナンがお爺さんになっていて、「トニー・カーチスもそうだけど若い時に二枚目な人ほど老けこむのが早い・・」と痛感しました(笑)
クリント・イーストウッドなんて、若いころは痩せて貧相だったけど、50歳くらいから風格が出ましたものね・・。
オカピー
2020年06月01日 17:11
ボーさん、こんにちは。

>私は現在と過去のシンクロ具合は好きです。

ボーさんは、前作を何十回も観ていて混乱がはないはずですが、僕は10年前に一回ぽっきりですからねえ、特に若い男性たちが混乱しまして、途中からどうでも良くなってしまいました。
オカピー
2020年06月01日 19:00
浅野佑都さん、こんにちは。

>ABBAの全盛期でも、僕自身、それほど好んで聴かなかったこともあり

僕もロック派ですから、ディスコ系ハウス系は好んでは聴きませんでしたが、当時はラジオをよく聞いていたもので、必然的に聞かされましたね(笑)。
 男性陣が日本でヒットした「木枯らしの少女」のビョルンとベニーと知ってから、多少興味を増しましたが。

>「核戦争後に生き残るのはゴキブリとシェールだ」と揶揄されていますね

聞いたことがあります。

>「シルクウッド」

シェールが女優としてもやる気になったのはこの辺りからでしょう。

>「月の輝く夜に」の彼女は素敵でしたね。

映画自体の評判もなかなか良かった。確か姉が気に入っていたような。

>リリー・ジェームズは頑張っていましたが、
>もうちょっと雰囲気の似てる人のほうが・・。

西洋人は、そういうのを余り気にしないケースが多い。これからアップする「ロケットマン」はそうでもなかったですが。

>アンディ・ガルシアなども、「ブラック・レイン」で高倉健と、
>「What'd I Say」を歌ったときも上手かったですが、今回もさすが・・。

メリル・ストリープにしても西洋の俳優はプロはだしの人が多いのに驚きますねえ。

>ピアーズ・ブロスナンがお爺さんになっていて、
>「若い時に二枚目な人ほど老けこむのが早い・・」と痛感

それはありますね。
 チャールズ・ブロンソンなんか若くても年をとっても余り関係ないかんじでしたもの。取り上げられたクリント・イーストウッドにしてもそうですが、若い頃から年齢不詳のような人のほうが有利なようです。