映画評「ガール・イン・ザ・ミラー」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年カナダ=アメリカ合作映画 監督アサフ・バーンスタイン
ネタバレあり

昔から二重人格ものは様々なヴァリエーションで作られてきた。例えば、「ジキル博士とハイド氏」に代表される純二重人格系列、サイレント映画「プラーグの大学生」(1913年/1926年)に代表されるドッペルゲンガーもの、等々である。昨年観た「2重螺旋の恋人」は一人の女性が知り合う双子の兄弟が本当に二人いるのかそれとも二重人格なのかという狭間に観客を漂わせる二重人格ものの変化球だった。
 今月WOWOWでジョナサン-ふたつの顔の男-」という作品が放映されるなど、この系列は依然、というより近年人気があるらしく、本ブログの規定では日本劇場未公開作に当たる本作もその数に入れて良い。
 ローバジェットで中身も貧弱な映画の多いカナダ映画(アメリカとの合作)ながら、主演のインディア・アイズリーが僕ら世代のアイドル女優の一人オリヴィア・ハッシーの娘という興味だけで観てみた。

高校生インディアは、形成外科医の父親ジェースン・アイザックスに露骨ではなくも嫌われ、父親に逆らえない母親ミラ・ソーヴィノには何も期待できない。学校では虐められ、幼馴染のペネロープ・ミッチェルも味方の振りをして自分の恋人ハリスン・ギルバートスンが靡きかけると必要以上の邪魔立てをするなど実は嫌っているらしい。
 そんなある日、鏡の向こうから自分の同じ自分に話しかけられるが、弱気の態度は変えられない。後日二人が手を合わせると鏡とこちらの世界で二人は入れ替わり、もう一人のインディアが自分に冷たくして来た連中に次々と復讐を仕掛けていく。

オカルトの悪魔的世界と精神病理学的な二重人格の要素を合せたような内容で、鏡のこちらと向うとでヒロインの性格が違うという発想は面白く、彼女以外にも鏡を見るショットが幾つかあるのは統一感があって良い。鏡であるから、弱々しいヒロインの名前 Maria の綴りがひっくり返って強気の Airam(アイラム)になるのも漫画的ではあるが、鏡という媒介を徹底して生かしている。その代わり、ドッペルゲンガーの別要素である双子として生まれたのが父親に嫌われる一因となったらしいのだがよく解らず、説明不足。

幕切れは二人は共存していくということだろうか? しかし、回りであれだけ死人が出れば警察の捜査がヒロインに及ぶのは必定で、そのまま無事に生きてはいけまい。そこに全く言及しないのも弱い。

インディア・アイズリーは母親オリヴィアより目が大きいが、アングルによっては似ているところがある。

昨年「チコちゃんに叱られる!」で鏡は本当に反対に映すのか検証していたが、自分が右手を挙げた時に鏡の中の自分も右手を挙げていると思う人と、左手と思う人に分かれ、その理由は心理学的に解らないとされた。思うに、そのまま右手と思う人は鏡の中に紛うことなき自分を、左手と思う人は自分を他者的に見ているのだろう。それが僕の心理学的分析である。

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