映画評「イメージの本」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年フランス=スイス合作映画 監督ジャン=リュック・ゴダール
ネタバレあり

映画サイトには“異色作”とあるが、ジャン=リュック・ゴダールは1960年代後半からこんな作品ばかり作っているのだから、ちっとも異色作ではない。勿論ゴダールを初めて観る人には異色作だが、これを異色作と思うような人はまず観ないであろう。
 と言葉遊びをして字数を稼ぐ作戦なり。

ここ50年の彼の作品で一番近いのは「映画史」で、古今東西の映画が矢継ぎ早にコラージュされるように出て来る。それもストレートに出て来るのもあるが、色彩を強調したり、ネガポジ反転のような技法を加えたり、時にアスペクト比を変えたり、奔放な構成である。

扱われる作品は、「ドクトル・マブゼ」「キートン将軍」「アンダルシアの犬」「ジャンヌ・ダルク」「雨月物語」「道」「戦争と平和」(ソ連版)「ソドムの市」そしてカイエ・デュ・シネマ派が大好きな珍無類の西部劇「大砂塵」など有名無名を問わず無数。音楽も色々なジャンルを短く刻んでやはりコラージュにしている。

ゴダール自身のナレーションだけはコラージュではなく一貫性があるが、誰でも理解できるように整理されているものではないから印象としてはコラージュに近いものになる。文字も相変わらず横と縦に同時に出るなどして解りにくい。
 例によって書籍への言及・からの引用も多い。日本人にはフローベールがポエニ戦争をテーマに書いた「サランボー」はちと解りにくいだろうが、これがかつての共産主義に変わって現在ゴダールが一番興味を持っていそうな、アンチ西洋的立場としての中近東の問題への入り口になっているような感じで、ナレーションが進むに連れて戦争を核とした政治哲学に傾いていく。その一々は一回で理解できるはずもない。

取り上げられた古い映画を観るためにもう一度観る可能性はあるが、中身を精解する為という理由で見直す気にはとてもならない。悪しからず。

今回トリュフォーは関係ないが、あれほど方向性の違う二人が、一時とは言え、タッグを組んでいたのは不思議。安倍と枝野が組んだようなものだ。安倍首相と言えば、周囲が全て彼の発言に合わせるように言動を変える。閣僚は当然としても、内閣人事局が出来てパワーを失った結果官僚まで唯々諾々となっているのだから、もはや独裁に近い。習近平やプーチンは少しでも長く権力の地位にいられるように法律・規定を変える若しくは変えたが、日本の現首相にそこまでの野心はない(3期には伸びたが、4期への延長はしないらしい)。どんなに優れた人員であっても長期政権はデメリットが多いので、国民にとっては幸いだ。

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