映画評「Diner ダイナー」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・蜷川実花
ネタバレあり

蜷川実花の映画は写真と同様に強烈な色調の画面で、その画調にふさわしく内容が非常にギトギトしている為に僕はいつも疲れてしまう。本作の内容はマンガっぽいが、実は平山夢明の小説の映画化。小説もイロイロということです。

母親に捨てられて祖母に育てられた少女オオバカナコ(玉城ティナ)が自信もなく自分の居場所を見失った後やっと居場所と信じたメキシコに行こうと旅行代理店に赴き、その費用を捻出すべく闇商売に絡んだのが運の尽き、ダイナーという殺し屋専門のレストランのウェイトレスに無理やりさせられてしまう。
 殺し屋の店長ボンベロ(藤原竜也)に気に入られてなくても客に気に入られなくても殺されると言われるうち、貴重なウォッカを収めたダイヤモンドを散りばめられたボトルを人質に生き長らえようとする。そんな折に彼の雇い主である暗黒街のボス(奥田瑛二)から次の大ボスを決める寄合をレストランで行い、そのウォッカで祝儀すると聞いたボンベロは焦る。
 が、集まったボスたちは互いに信用していない為にやがて殺し合いになり、ボンベロは次第に自信を付け始めていたカナコが気に入り、彼女をその騒ぎの中から抜け出させようと孤軍奮闘するのである。

彼女が自信を取り戻すのは、マザコンの殺し屋スキン(窪田正孝)や整形を繰り返して子供のように小さくなったキッド(本郷奏多)に対する珍妙な接待を通してである。
 先日「半世界」の映画評で述べたように、最近は自分の居場所探しの映画が多く、本作もヒロイン自ら語るようにその類で、ほぼ必然的に成長物語の体裁を取ることになる。
 
原作がこういうテイストだったかは知らないが、全体の暴力的な印象とは違い、甘いお菓子のような後味を残す。それで良いのかという疑問に加え、大した理由のない殺しでは常識人として面白味を感じるのが難しい。
 蜷川女史の映画はそうした内容より原色を多用する画面を見るべきだが、余りにも派手なので長く見ると疲れるのは冒頭で述べた通り。

殺し屋のボス連中に関してはお笑いに通じるところが多々あり、特に楽屋落ち的に面白いのは、真矢ミキの子分の一人が雄須果瑠(オスカル)という名前を持つこと。彼女の宝塚時代の代表作「ベルサイユのばら」絡みのお笑いだ。しかし、これはTVの日本語字幕ONで観て初めて解るだけかもしれない。

ヒロインが旅行代理店で笑われるのは、彼女の名前が“大馬鹿な子”と読めるからなのであった。

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