映画評「ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊」

☆☆(4点/10点満点中)
1969年アメリカ=メキシコ合作映画 監督ダニエル・ファーランズ
ネタバレあり

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の終盤と同工異曲の、伝記映画のWhat ifものである。

前述作では、チャールズ・マンソンが恨みを抱いた若手音楽プロデューサーのテリー・メルチャー(ドリス・デイの息子、キャンディス・バーゲンの恋人)が以前住んでいた住宅に住んでいたのがポランスキー夫婦ではなくTV西部劇役者だったという仮定で展開したのに対し、本作ではシャロン・テート(ヒラリー・ダフ)が予知夢を見る能力があったという仮定で終盤を迎える。

これは事件の一年前の1968年8月でのTVインタビューで彼女が事件を予測したような悪夢を見たと発言していることにヒントを得たアイデアらしい。そのおかげで本来死んだはずのシャロン以下5人が助かる、というお話のように見せながら最後にどんでん返し。
 生き残った彼女たちは、横たえられた死体の自分達を見るのである。そうするとお話に全く整合性がなくなり、鑑賞者としてはどう考えたものか悩むことになる。
 SF的に二つの並行世界で極めて似た現象が起き、予知夢を利用したか否かで二つの結果がもたらされた、と考えるのが一番近そうだ。運命は生まれる前に決まっているのか、誕生後に自分の選択で変わるのかといったナラタージュがあるので、選択により出来事が変わっていく様子を並行して描いた実に興味深い「スライディング・ドア」(1997年)に類するファンタジーと思うしかないのであろう。

そのナラタージュの内容を考えると、作者がこんな変な見せ方をしたのは、クエンティン・タランティーノの心境に似て、シャロン・テートに生きてて欲しかったという思いがあったからと僕は感じるのである。従って、かなり妙ちくりんな作品であることを認めつつ、IMDbの2.8という評価は低すぎるような気がする。

イーグルスは「ホテル・カリフォルニア」で1969年はロック精神が終った年と言い、映画人は映画界が変わった年と見なしているのかもしれない。

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