映画評「海獣の子供」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・渡辺歩
ネタバレあり

五十嵐大介なる漫画家のアニメ映画化で、アニメ制作はハイライトの映像処理が爆発的なものになる傾向にあるSTUDIO4℃。お話は相当難解で、一種の哲学映画である。

コミュニケーション能力不足の為に夏休み初日の部活で失敗をやらかし干された女子中学生の琉花(声:芦田愛菜)は、別居中の父(声:稲垣吾郎)の働く水族館を訪れ、ジュゴンに育てられ海中を自由に泳ぎ回れる不思議な少年・海(声:石橋陽彩)と知り合い、彼の言う人魂(恐らくは流星)を観に行く。
 彼には空(声:浦上晟周)という兄がいる。二人は自然が一部の者たちを招待する祭の案内人と考えられ、大人たちはその機会を狙っているが、実際に選ばれたのは二人と懇意になった琉花。海に消えていった兄弟たちに導かれ彼女は海と空が織り成す大宇宙の神秘に触れる。

というお話で、恐らく三つの大きな要素から成り立っている。

一つはコミュニケーションの問題。琉花はコミュニケーション能力に欠けるが、それはどうも両親に由来するようだ。父親はある時その事実に気付き、二人は意思疎通を図ることに努め復縁する(描写はないが、最後に母親・加奈子(声:蒼井優)の生んだ赤子のへその緒をヒロインが切る場面がある)。
 この人間のコミュニケーションと対照的なものとしてクジラのソングというものが扱われる。人間は正確な言葉がないと上手く意思疎通できないが、クジラの伝達方法ではそれで全てが遠方のクジラまで伝わる。人間関係の何と面倒くさいことであることか。

第二は、海と空(宇宙)の関係。案内人たる二人の少年は勿論その寓意で、これらが生命の、全ての起源であるということである。

第三は、大宇宙(自然)と小宇宙(精神)とが一体化するといった哲学的思惟。

これらが合わさって浮かび上がるのは、人間同士の関係は空と海のように一体不離というわけには行かないが、小さな思いの欠片を集めて大きな考えに至った時コミュニケーションが成り立ち、素晴らしい人間関係が生れる。それが男女であれば、また新しい生命を生み出す、という円環があるということであろう。

前夜が睡眠不足だったか、半分寝惚けまなこで観ていたので、確信が持てぬ部分が多いものの、案外近いところまで行っているような気がしますぞ。

コロナ関連。日本は検査数が少ないので感染者数が少ないのだという指摘は、確かにそうであろう。しかし、大事なのは死者数で、ここから症状のない人を含めた感染者数が推測できる。日本の場合、検査数が増えれば公表上の致死率がどんどん減ると思われる(実際当初3%だったのが、現在2%)。自粛要請若しくはロックダウンは休業補償と表裏一体。政府は惜しんでいるが、これをしないと却って経済が疲弊し、将来的に財源が減るだろう。

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