映画評「007/リビング・デイライツ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1987年イギリス映画 監督ジョン・グレン
ネタバレあり

ジェームズ・ボンド役がロジャー・ムーアからティモシー・ダルトンに代わったシリーズ第15作。役者は代わったが、監督は4作続けてジョン・グレン。再鑑賞。

ソ連末期。007ことボンドがKGB将軍イェロー・クラッベの亡命を助けるべく、美人狙撃者マリアム・ダボーの銃撃を邪魔する。将軍は上官ジョン・リス=デイヴィスが英米のエージェント暗殺を指揮していると告げるが、彼をよく知るボンドはその言を実は信じない。
 というのもマリアムが空砲を撃とうとしていたことに気づいていたからで、クラッベの亡命は見せかけである。と言ってもソ連の陰謀ではなく、彼が悪徳武器商人ジョー・ドン・ベイカーと結託してアフガニスタンの麻薬で大儲け、その先に世界征服の野望があるのだ。

ソ連とアメリカの雪解けが始まった頃に作られた作品で、モスクワ・オリンピックの前に起きたソ連のアフガン侵攻を踏まえて展開しているところが面白い。
 本作のお話は一見イギリスとアフガニスタンがソ連に立ち向かうような構図に見えるが、ソ連本体はこの事件には全く関係ないわけで、ここに見るように007シリーズはソ連の一部を悪党にすることはあっても本体を悪党扱いすることが殆どなかった。僕は、冷戦時代のスパイ映画が殆どソ連を敵国として扱かってきたのとは対照的であると感心するのである。

ここに出て来るアフガニスタンの野盗のような群れはレジスタンス(ムジャーヒディーン)で、後に一部がアルカイダに発展していく連中だが、まさかこの14年後にアフガニスタンに潜伏したサウジアラビア人がアルカイダを指揮してあんな大事件を起こすとは想像だにできなかった。飼い犬(アメリカが彼等に武器を提供しソ連に抵抗させた)に手を噛まれたという諺が一番近いかもしれない。
 或いはチェコ=スロヴァキアの一都市だったブラチスラヴァがスロヴァキアの首都にもなっているし、こうして観直してみると当時とは違う感想や感慨が自ずと出て来る次第。

監督がグレンになってからの傾向通り、実にオーソドックスな物語と見せ方で、スパイ映画ムードは満点である。それを考えると「ミッション:インポッシブル」シリーズは華美に過ぎてダメでござる(ヒジョーに面白いけれど)。

例によって舞台が色々と変わるのもお楽しみだが、タンジールでは屋根を移動する場面が出てくる。家々が密集した町の作りのせいであろうが、北アフリカを舞台にしたアクションは屋根を大いに利用することが多く、実に興味深い。この作品辺りが嚆矢であろうか? 

ティモシー・ダルトンの007は、ジョージ・レーゼンビーを別にすると一番評価しなかったのだが、昔の記憶と違ってなかなか良い。

トランプ大統領は阿呆である。経済活動を理由にパリ協定を抜け、WHOへの拠出金を停止すると言って、鬼の居ぬ間に中国が世界で覇権を握るのに協力している。WHOが中国に傾いているなら、拠出金を増やしてでもその傾きを直すのが大国アメリカの役目ではないか。医師の記事をデマと決めつけコロナ蔓延の原因を作ったのに頬かむりどころか、マッチポンプ的活躍をする中国に覇権を握られては、我々民主主義国の人々が困る。

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