映画評「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年アメリカ映画 監督ジョン・ワッツ
ネタバレあり

マーヴェル・コミックス映画版について、いつも似たようなことばかり書いているので、もう大して書くこともない・・・と言いつつ、また同じようなことから始めさせて戴きます。

「スパイダーマン」第一シリーズは陰々滅々である為僕は全く買わず、明朗さが気に入った第二シリーズは何故か二作で干された。そしてこの第三シリーズも明朗で、少なくともヒーローもののあるべき姿をきちんと見せ、好感を覚える。

今回は「アベンジャーズ/エンドゲーム」の後日談の体裁で、トニー・スタークなどが死んだ後の世界が舞台である。

高校の欧州科学旅行で憧れの少女MJ(ゼンデイヤ)と交際する機会を見出そうと鋭意努力中のスパイダーマンことピーター・パーカー(トム・ホランド)は、その最中に元SHIELDS長官ヒューリー(サミュエル・L・ジャクスン)から、故スターク製作のAI内蔵眼鏡イーディスを渡される。強力な武器である。
 その最中彼らが行く先々則ちイタリアには水の怪物、プラハには火の怪物が現れて大暴れ。しかし、いずれも別の地球からやって来たと称すミステリオ(ジェイク・ギレンホール)の活躍で、抑え込むことに成功する。純情なピーター君は大人の彼に第二のアイアンマンになってくれとイーディスを渡す。
 ところが、怪物もミステリオの活躍も実はホログラムであり、少年からイーディスを奪う彼等一味の戦略と判明し、ロンドンでピーター君則ちスパイダーマンはヒューリーなどと一致協力して奪還すべく大奮闘する。

本作で面白いのは、アリストテレス以降二千年以上に渡って欧州の世界観を支配してきた四元素(水・火・風・土)という要素(エレメンツ)を持ち出してきたことである。哲学を少し勉強した人間ならニヤッとしたくなるはず。
 もう一つはホログラムによるでっちあげ。これが視覚的になかなか凄く、怪物が暴れる場面以上に、連続的に幻惑映像が出て来るドイツでの描写が断然の見ものである。
 四大元素とホログラムによる騙しという組み合わせで相当楽しめる内容になった、と言うべし。

ピーター君の青春模様がスペクタクル、サスペンス場面の脚を引っ張らず、見通し良好なのもよろし。AC/DCの「バック・イン・ブラック」を聞いて“ツェッペリンは良いね”と言うピーターの勘違いぶりが音楽ファンには可笑しい。

実は騙しはミステリオだけではなかったという種明かしが本編終了後にあり、通奏低音として徹底している。マーヴェル・コミックスの脚本家諸君はいつも良い仕事をすると思う次第。

因みに、四大元素に、今では存在しないことが解っているエーテルを加えて五大元素と言う。エーテルという言葉はたまにファンタジー映画に出て来るので、注意しておく必要があるかも。

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