映画評「愛と銃弾」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2017年イタリア映画 監督マルコ・マネッティ、アントニオ・マネッティ
ネタバレあり

諸事情があり採点は☆☆★に留めたものの実は面白がった「宇宙人王(ワン)さんとの遭遇」のアントニオとマルコのマネッティ兄弟の新作は、何とマフィアの抗争をミュージカル仕立てで描いた異色作で、問題がないでもないが、なかなか楽しめる。よって大盤振る舞いの☆☆☆★でござる。お話は頗る単純。

現代のナポリ。事実上のマフィア・ボスである魚介王ヴィンチェンツォ(カルロ・ブチロッソ)が彼に恨みを持つ連中に襲撃される。軽傷だが、お金もたんまりあることだしと逃亡を決め込み、細君マリア(クラウディア・ジェリーニ)と手筈を整え、そっくりな町民を殺して葬式を行わせ、自分は病院で療養を決め込む。
 豈図らんや、臨時の看護婦ファティマ(セレーナ・ロッシ)に顔をしっかり見られてしまったボスは、子分に彼女を探し出し殺すよう命ずる。その一人チーロ(ジャンパオロ・パレッリ)はファティマを捕えるも、何と相手は元恋人で、かくして暫し彼女と逃避行、叔父に匿って貰う一方、自分は仲間たちを次々と仕留めていく。
 敵もさるもので、協力者の叔父の存在を突き止めるとアメリカにいる姪を人質にチーロの居場所を吐かせる、云々。

ミュージカルの要素がなければ実に陳腐と言うしかない内容ながら、それでもナポリ人種の激しい愛憎をめぐるお話の構図には、少しメリメの復讐譚(「カルメン」「タマンゴ}など)を想起させる濃厚な野趣がある。
 マフィアのボスの描写がコミカルすぎるのに、恋人たちの最後はシェークスピアのようなムードを伴う悲劇であるように、作品として性格がはっきりしないのが弱点なのだが、本来はコメディー的であることを本質とするミュージカルらしさを発揮しているとも言えると同時に、実はこの悲劇には裏があって、その一貫性のなさに展開を予想させる仕掛けが忍ばされているのである。

ナンバーは種々雑多で、アメリカン・ミュージカルほど洗練されていないものの、内容に合う野趣溢れる歌曲・歌唱には面白味がある。オペレッタの映画版、或いは新オペレッタという感じですかな。

マフィアも怖いけれど、コロナも怖いよ。by イタリア市民

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