映画評「ザ・フォーリナー/復讐者」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2017年イギリス=中国=アメリカ合作映画 監督マーティン・キャンベル
ネタバレあり

ジャッキー・チェンの主演映画はこのところ空振り気味で余り期待していなかったし、中国の資本も入っているので、嫌な感じがしたが、その思いは全く裏切られるのである。実際、最初はうんざりしかけた。
 というのも、中国系の初老男性チェンが娘をビル爆破のテロで失うからである。最近のチェン主演の映画は中国を舞台に日本人を揶揄する作品でなければ、父親が復讐なりをする作品ばかりなので、ああまたかという印象を受けたのだ。ところが、思いがけず快調に進む。

舞台は英国で、犯人は統一アイルランドを目指すUDIなる組織(現実にはIRA)であることはすぐに判る。悲しみに暮れ復讐を誓うチェンは副首相ピアース・ブロスナンが元UDI闘士と知り、関連があって犯人の名前くらいは知っているだろうと執拗に役所に現れて副首相から名前を聞き出そうとする。副首相は知らぬと応えるが、これは“ある程度”真実である。
 これに納得できない彼は、ベトナム戦争時にアメリカの訓練を受けた特殊部隊工作員の実力を発揮し、小さな爆破を起こし、副首相の避難場所で警護する連中を次々と倒す。これは手に終えぬとブロスナンはアメリカの工作員たる甥を呼び出す。
 しかし、チェンはそれをも上回り、遂に相手が調査で得た犯人の名前とその居場所を知る。警視長レイ・フィアロンも旧悪にかこつけて副首相から情報を引き出そうとし、次第に点が線になっていく。

従来のチェン映画と趣きが違い、非常によく計算されたスパイ・スリラー的内容と、彼の作品としてはやや少なめのアクションとのバランスが絶妙で、誠に面白い。
 スティーヴン・レザーの小説を映画化した原作ものの強みが出た形で、デーヴィッド・マルコーニの脚色も無駄がなく見通し良好。

そして、画面が良い。最近観た「ファイナル・スコア」や「大脱出2」の凡監・凡撮影監督のコンビと違い、マーティン・キャンベル監督とデーヴィッド・タッターソール撮影監督のコンビは、アクションでもカメラを揺らさず、やや距離を置いて程々の長さ(比較的短いが、細切れではない)で動きをきちんと捉えていて、爽快である。近頃はこんな当たり前のことをしない映画が多すぎる。メジャー映画では明らかに改善されてきた為、以前より文句を言うことが少ないが。

チェンのファン以外にもお勧めできるスリラーの佳作と言うべし。

1980年代フォリナーという人気ロック・バンドがあった。当時LPを買いましたなあ。

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