映画評「ハンターキラー 潜航せよ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年アメリカ=イギリス=ロシア合作映画 監督ドノヴァン・マーシュ
ネタバレあり

アイデアがなかなか良い一種の戦争映画である。

ロシア近海で、アメリカの原子力潜水艦(以降、原潜)が攻撃されて行方不明になる。米国は、叩き上げの海男ジェラード・バトラーを原潜アーカンソーの艦長に招聘、捜索に当たらせる。
 その頃陸上では米国当局が、ロシア国防相マイケル・ゴアがクーデターを起こすのを目撃する。国防相は大臣を次々と殺し、大統領アレクサンデル・ヂアチェンコを監禁、アーカンソーに自軍を攻撃させることで第三次大戦を起こし、権力を握ろうという算段と判って来る。
 米軍はたまたまロシア軍を探っていたネイビー・シールズの連中に大統領を救出させ、アーカンソーの別動隊と合流して原潜まで連れ帰ろうとする。作戦は困難を極めるが、実はクーデターの一環で自爆で沈められたロシア原潜から艦長ミカエル・ニクヴィストを救出していたおかげで、難関の要衝を通り抜けることができ、シールズも何とか生き延びた閣僚と協力してボリャヌイ基地に侵入、激しい攻防戦の末に大統領を連れ出す。

以降、色々な攻防や紆余曲折があるが、勿論こんなきな臭いお話がハッピーエンドに終わらぬわけがない。

それはともかく、最初からがっかりさせてくれる。ロシア人がロシアで英語を話すのである。アメリカ人と接近する時だけ一部ロシア語が出て来るというアメリカ戦争映画によくある見せ方であるが、大いにサスペンスを損なう。と言うのも、アメリカ人やロシア人には即座に区別がつくのかもしれないが、軍服の区別も碌に付かない日本の大衆には瞬間的にどちらのお話か分からなくなるからである。
 言葉の違う国同士が出て来る戦争映画では言語はその国の言葉でやって貰わないとダメだと口を酸っぱくして言っているのだが、アメリカ資本の場合これだけはなかなか直らない。製作上の問題という以上に、アメリカの大衆が字幕を読むのを面倒くさがるので、その配慮であると僕は半世紀も憶測しているわけだが、純粋な英国映画はその点大分マシである。

しかし、冒頭で述べたようにアイデアはなかなか良い。何しろアメリカ軍人に犬猿の仲とは言わないまでも国防上色々と問題が生れる可能性のあるロシア大統領を救出させるわけで、作戦実行に当たっても原則に忠実な連中が反対するという対立関係を強行して進むというのもちょっとした面白さになる。反軍映画ではないので、ひねりは全くないが。

ただ、落着場面に一つ解らないことがある。国防相の作戦を実行していた駆逐艦の艦長代理はどうなったか全く解らないのである。想像するに、ニクヴィスト艦長や大統領の命令以外は聞かないと決めた乗組員たちが押さえつけて、自軍基地に向けてミサイルを発射したのだろうが、お話を締める為にちょっと見せる必要があったであろう。

CGは概ね良好だが、駆逐艦が米原潜に向けて飛翔する自軍のミサイルを迎撃する辺りは絵としか見えない。落ち着きのないカメラも良くないが、まあ放っておこう。

邦題は、僕が題名だけよく引用する「深く静かに潜航せよ」を意識しましたかな? そんなこたあない(by タモリ)。

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この記事へのコメント

2020年03月04日 23:06
駆逐艦の艦長…すっかり忘れていました! そういえば、駆逐艦が米側に寝返った(?)あとは、彼は画面に出てきていましたっけ? 録画は消したので確認できず。
ロシア駆逐艦のミサイル迎撃、あんなにシュバババンと、うまくいくわけないなーと、思いましたよね。
ジェラルド・バトラー、あれで助からなかったら、策がなかったんじゃないですか。(もう、あんまり覚えていませんけど。)
オカピー
2020年03月05日 21:58
ボーさん、こんにちは。

>彼は画面に出てきていましたっけ?
僕も気になったので録画を鑑賞後再確認しましたが、出てきませんでしたよ。だから、幕切れが全く締まらないこと!

>ロシア駆逐艦のミサイル迎撃、あんなにシュバババンと、
余りに気を持たせ過ぎます。さすがにもう少し早めでないと、お話の為のお話になってしまう。