映画評「フェリーニの道化師」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1970年イタリア映画 監督フェデリコ・フェリーニ
ネタバレあり

生ブルーレイ・ディスクに収めるハイビジョン映画もあっという間に2000本を超えたが、最近がっかりしたことがある。恐らく7,8年前に買ったマクセルのカラー・ディスクに再生しない盤が多いことに気付いたのだ。
 おかげで「自転車泥棒」「暗殺の森」「ロベレ将軍」「鳥」「マーニー」「見知らぬ乗客」「間違えられた男」「泥棒成金」「OK牧場の決闘」「シェナンドー河」「アンネの日記」等が見られないことと相成ったのである。幸か不幸か画質を気にしなければいつでも見られそうな顔触れなので、まあ我慢しましょう。「ロベレ将軍」はちと難しいか。

どうも録ってから数年経つと何かの理由で読めなくなるようで、10枚中6枚がアウト。現在問題のない4枚もいつ読めなくなるのかもしれないので、“絶滅危惧種”ならぬ“消滅危惧作品”としてブログにまだアップしていない作品に限り優先して再鑑賞することにする。本作はその第1弾で、3度目の鑑賞だと思う。

フェデリコ・フェリーニは「8・1/2」(1963年)以降ほぼ私小説作家になったし、それ以前にも「青春群像」(1953年)など自伝的な作品がある。本作は次作「フェリーニのローマ」(1972年)同様幼年期の再現ドラマとドキュメンタリーとを合わせた作り方で、彼独自の、一見猥雑としかつ幻想的な作品世界が堪能できる。

最初は幼年時代にサーカスのテントが作られ、初めて見た道化師が怖くてたまらなかった思い出が綴られる。3年後の傑作「フェリーニのアマルコルド」(1973年)に通ずる内容である。
 怖さ変じて道化師に惹かれたフェリーニは、今も細々と続いているサーカスの道化師稼業について掘り起こすべく、イタリア、フランスの名道化師たちを歴訪する旅に出る。その実態は甚だ寂しいもので、総じて彼らは思い出に没してしまっている。

最後は“道化師は死んだ”という設定で、名道化師たちに芸を披露してもらい、大々的なクライマックスを迎えた後、道化師は消えていく。夢幻的とも言える悲哀と余韻たっぷりの幕切れで、誰にでも解る境地とは言えないと思うものの、圧倒される人は確実に圧倒される。近年僕はフェリーニの後継者と見なされる作家を数名イタリアに見出しているが、彼らもなかなかこの境地には達しまい。

フェリーニやスタッフが出て来る部分は厳密にはドキュメンタリーとは言えないところが多く、素人なのか俳優なのかよく解らない美人ナビゲーターの進行ぶりを含めてその動向には演出が加えられ、ドラマとドキュメンタリーとの区別を判然とさせない進行ぶりとなっている。

人生はサーカスだ、などと感慨に耽ってみる。

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