映画評「アリータ:バトル・エンジェル」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年アメリカ映画 監督ロバート・ロドリゲス
ネタバレあり

ジェームズ・キャメロンが共同で製作と脚色に当たり、ロバート・ロドリゲスが監督したから話題には事欠かなかった筈。僕はWOWOWのパンフレットを見るまで存在も知らなかったけれど。
 原作は木城ゆきとのSFコミック「銃夢(ガンム)」ということだが、少年時代からコミックを読む習慣のない僕は全く知らない。1990年頃の発表らしく旧作に属する部類なので、原作ファンにしてみれば映画化が遅かったと臍を嚙んでいるだろう。
 と言うのも、半世紀も映画を観ている僕には聞いたことがあるような設定、見たことがあるような場面ばかりだからである。その点若い人は幸福だ。世評が概ね悪くないのはそれが大きく手伝っているのであろう。思うに、50年選手でこの手の映画を観ているのは、もはや篤志家と言って良い。

今から500年後くらいの地球が舞台で、例によって(「ハイ・ライズ」など)上層階級は上空(ザレムと呼ばれる)に、下層階級は雑然とした地上に暮らしている。
 地上にはサイボーグ化されている人が多い。これらの人々が注目するスポーツは「ローラーボール」の発展形、オーヴァル式カーレースとアメリカン・フットボールを合わせたような激しいスポーツ“モーターボール”で、ここのチャンピオンになると上層に行けるらしい。
 そんな世界で、こっそり悪人狩り(未来版賞金稼ぎ)をしている科学者イド(クリストフ・ヴァルツ)が、ごみの中から自分の死んだ娘の代りになりそうなサイボーグ体を発見して再生、娘の名前と同じアリータと名付ける。
 「ゴースト・イン・ザ・シェル」のヒロイン同様に正しい記憶のない彼女は闘争にひどく駆られるものを覚え、300年前に地球人と戦った火星人が残したサイボーグ体を持ち帰る。一度強敵にバラバラにされた彼女を見て、“父親”イドはその強靭なサイボーグ体を使って再生する。
 彼女は、実は裏でサイボーグ部品を強奪している青年ヒューゴ(キーアン・ジョンスン)と恋人関係になったために、彼を巡ってややこしい立場に追い込まれる。

ストーリーの中に作品名を幾つか記したように、50年も映画を観ている年寄りには、全く新味がないのである。
 実写映画化などという表現に呆れかえるしかない、殆どCGを中心にしたVFXで処理された画面で、見たことがあるような場面を見せ続けられることに辟易するしかない前半を終え、後半の中盤辺りから力の入る部分が最後まで続くのに免じて、☆☆★を進呈する所存。細かいことをとやかく言うほど集中できなかった。

ヒロインを演じるのはローサ・サラザールという女優だが、VFXで元々大きな目を拡大されて全体も処理(モーション・キャプチャーの類)され、一人漫画状態なのがお気の毒と言えばお気の毒。

目の大きいアン・ハサウェイならそのままでOKだったのに(嘘)。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

2020年02月29日 22:31
これ未見ですが、予告編を映画館で見てて、それであのヒロインはCGだと思い込んでいたんですが、女優がCG加工されてたんですね。着ぐるみ役者みたいなかんじなんでしょうか。

オカピー
2020年03月01日 21:08
nesskoさん、こんにちは。

>着ぐるみ役者みたいなかんじなんでしょうか。
見た目はただのCGと大して変わりませんが、モーション・キャプチャーは動きが自然になるといった理由で使われるようですね。上書きですから、着ぐるみみたいなものと言えば、そういうことになりましょうか。
 普通のモーション・キャプチャー映画は、全員がそうなりますが、本作は彼女だけ。少々気の毒になります。