映画評「おかえり、ブルゴーニュへ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年フランス映画 監督セドリック・クラピッシュ
ネタバレあり

2年前に「ブルゴーニュで会いましょう」というフランス映画をみているので、当初(題名があやふやだった為)既に観た作品と勘違いした。しかし、監督がデジタル時代のフランソワ・トリュフォーと僕が称しているセドリック・クラピッシュと書いてあった為すぐに別の作品と確認できた。ところが、内容にも似ているところが多く、後年確実にこんがらがる。

10年前に家を出、5年ほど音信不通であったブルゴーニュのぶどう農家の惣領ピオ・マルマイが、嫌っていた父親の危篤の報に接して、定住先と決めたオーストラリアから帰国、農園を引き継いだ妹アナ・ジラルドと、日本で言えば婿のように妻の家に入っている弟フランソワ・シヴィルに迎えられる。責任を放棄する形で勝手に出て行った兄に姉弟は実を言えば余り面白くない。
 兄は兄で残してきた南米人の妻マリア・ヴァルヴァルデとの関係が上手く行っていず、5歳の息子を思って悲しむ。しかし、兄妹夫婦の問題はさておいて、収穫の季節であり、兄妹が知恵を絞って良いワインができるよう収穫の日取りその他を色々と決めなければならない。
 そんな折、父親が亡くなり、相続税が大きな問題として浮かび上がる。隣の農園主や弟の義父など農園に関心を持つ者が多いが、強欲な人ばかりなので譲る気になれない。
 妹がかけた電話が元でマリアが息子を連れてやって来る。マルマイは二人との再会を通して覚悟を決める。

どう覚悟を決めるかは見てのお楽しみとして、「ブルゴーニュであいましょう」に似て、ぶどう農家としての奮闘は経糸で、それを通して綾を成す人間関係を緯糸とする構成。
 ぶどう園(ブルゴーニュの場合は大概同時にワイナリー)の再構築は人間関係の再構築という見せ方も似ている。相続税の解決は、兄妹の確執を超えて解決に導く必要があり、それは同時に姉弟の確執の解決をも意味する、といった具合。主人公の場合さらに妻との問題の解決にも結びつこう。主人公の言を借りれば、ワインにも人間にも熟成期間が必要ということだ。

こうした小規模農家を主人公にした映画が日本と欧州に多いのは、第一次産業が突き付けられている厳しい現実の反映でもあろう。

緑が目にも鮮やかなブルゴーニュの風景が大変美しいが、クラピッシュらしい遊びや洒落っ気を期待すると背かれるし、日本の観客には、フランス人らしい強い主張の応酬の繰り返しが些か煩わしく感じられるかもしれない。

日本の場合は農業の企業化が必要と思う。さもないと、益々農産物を作る農家が減り、日本は食糧封鎖されるとどうにも立ち行かなくなる。第二のABCD包囲網が起るかどうかは知らんけど。

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