映画評「キングダム」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・佐藤信介
ネタバレあり

原泰久によるコミック(の題名)は主人公の名前を答えさせるクイズを通して知った。子供の頃から漫画を読む習慣のない僕は勿論読んだことはない。
 原作は少年向けコミックあろうから、物語は見た目以上に他愛ない。以下の如し。

中国戦国時代の秦国で奴隷の境遇にあった少年・信(成長してからは山崎賢人)と漂(同じく吉沢亮)が大将軍を目指して仕事の傍ら剣術に勤しむ。ある時昌将軍(高嶋政宏)に見出された漂が出仕することになる。後日判るように、彼が腹違いの弟・成蟜(本郷奏太)の反逆にあって避難した秦国王・嬴政(吉沢亮)に似ている為に影武者として見込まれ、その通り漂は殺される。
 その最期を看取った信は遺言に従って政に会い、事情を勘案して暫し彼に協力することにする。彼らは山の少年・河了貂(橋本環奈)に道案内をしてもらって辿り着いた山の民の王・楊端和(長澤まさみ)を政は味方に引き入れ、成蟜が居座っている王宮に向かう。
 彼らは少人数で中に入るのを許されるや否や攻撃をしかける。

大将軍になるという夢を叶える端緒についたところで終わる形で、夢や友情をベースにしている辺りいかにも子供っぽい印象が強く、主人公・信が一々大袈裟なのも興覚める。台詞も老人の脳にはどうも真実味が欠けて今一つである。

が、画面は褒めておきたい。ここ十年ほど見た本場中国の時代劇よりVFXで遥かに凌駕し、ワイヤーを使ったSFXも奮闘している。ところどころぎくしゃくしたところがあるが、そもそもワイヤー・アクションは妙なものだから他作と比較してどうのこうの言うには及ばない。ただこれほど大量のワイヤー・アクションを見るのは久しぶりだ。
 殺陣も見せ方に難のあるところもあるが近年のものとしてはまずまず。山崎賢人君は「るろうに剣心」で動き回った佐藤健ほどではないが、名前通り(?)健闘の部類だろう。但し、女性陣特に長澤まさみのアクションではスローやアップと細切れのカット割りをして誤魔化しているのが目立つ。
 それでも総じて画面は悪くなく、採点はそれを認めて甘く付けたつもり。

7、8年前NHKを反日とする考え過ぎの連中が大河ドラマ「平清盛」での皇室がみずぼらしいとケチをつけたと聞くが、実際も僕らが想像するほどきらびやかではなかったのではないか。逆に、本作の宮殿など紀元前3世紀のものとしては近代的で立派すぎる感がある。リアリズムで行けば「平清盛」方式が正しいのではないか?

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この記事へのコメント

2020年12月22日 00:13
初めまして。

あまり考えておりませんでしたが、
確かに当時、そこまで豪華にできるかどうか、疑問ですね。
オカピー
2020年12月22日 22:45
師子乃さん、はじめまして。

製作国を問わず、大昔の美術が豪華すぎる傾向はありますね。必ずしもリアリズムである必要はありませんが、疑問を持って観るのも大事だろうと思います。