映画評「メリー・ポピンズ リターンズ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年アメリカ=イギリス合作映画 監督ロブ・マーシャル
ネタバレあり

題名を見れば解るが、「メリー・ポピンズ」の44年ぶりの続編である。

世界恐慌の頃のロンドン。前作で子供だったマイケル・バンクス(ベン・ウィショー)が、妻を失った後、自分が会計士として勤める銀行への借金を期限までに返せないことが濃厚になり、姉ジェーン(エミリー・モーティマー)と協力し合って、父親が持っていたはずの株の証券を探すことになるが、どうしても出て来ない。
 そんな時かつて自分たちの教育係だったメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)が前作同様傘につかまって現れ、アナベル、ジョン、ジョージ―の三人姉弟の教育係になる。彼女は子供達を色々と幻想の世界へ連れて行くが、大人たちはそれを信じない。
 さらに、マイケルは子供達が銀行に乗り込み悪行三昧の頭取(コリン・ファース)を怒らせたことに腹を立てる。その後、子供が持っていた凧に証券を発見、締め切り数分前に銀行に走るが、家の横取りを企む銀行側は中に入れまいとドアを締め切る。並行して、一家の知り合いである点灯人ジャック(リン=マヌエル・ミランダ)がビッグ・ベンの時計の針を戻すべく塔に上る奮闘を見せる。

ディズニーのファミリー向け映画だから最後は推して知るべしだが、そこで意外な(?)人物がデウス・エクス・マキナ的に活躍し、その人物を正編で大道芸人に扮したディック・ヴァン・ダイクがご高齢を押して演じている。第一作のファンの中には感慨を覚える人も多いだろう。

テーマは「ピーター・パン」に通底する不可能なことが信じられる子供と信じられない大人という差ということのようだが、それを具現化するお話が思ったほど面白くない。
 魔法使いメリー・ポピンズの能力もよく解らず、時間を戻すところでは、何故か点灯人が梯子を駆使して時計台に上るのに唖然。視覚的には面白いが、結局針を戻せないと判ると、メリーが傘に捕まって針まで飛んでいく。それなら最初からそうすれば良かったではないか、という作劇上の大きな疑問が湧く。

メリーらが二次元アニメの中で行動するのは「メリー・ポピンズ」を踏襲した形で、それはまた「南部の唄」(1946年)以来のディズニーの伝統と言っても良い。同時に、CGの力を借りている現在のSF/ファンタジー系列の映画は見え方が違う(三次元の写真画質ということ)だけで実は同じことをやっている、ということを考える必要があるかもしれない。

踏襲と言えば、点灯人の群舞もジーン・ケリーのそれを意識した「メリー・ポピンズ」を踏襲。古いミュージカルを多く観ている僕はこれが一番嬉しかった。その代わり、一回観ただけではしかと言えないが、楽曲に魅力が乏しい気がする。

「南部の唄」は黒人差別の問題をきちんと扱っていない、歴史修正主義的であるという理由で完全に封印されていると聞いた。しかし、現在のディズニー映画はファンタジーの形で古代や中世の世界を差別のない世界であるかのように描いている。ポリ・コレの連中がそれを推進している。ファンタジーだから良いのかもしれないが、矛盾であると思う。

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