映画評「バックトレース」

☆☆(4点/10点満点中)
2018年アメリカ=カナダ合作映画 監督ブライアン・A・ミラー
ネタバレあり

シルヴェスター・スタローンが出演しているというので観てみたが、本ブログの定義では日本劇場未公開映画に当たる。

銀行強盗を働いた実行グループと発案グループとが喧嘩別れして撃合いになり、実行グループは一人を除いて死ぬ。
 7年後その一人マシュー・モディーンは服役囚を診る病院を兼ねた刑務所にいるが、事件以来記憶喪失になっている。ごく一時的に収容された若者ライアン・グズマンが彼に出所させてやると話を持ち掛け、偽看護婦メドウ・ウィリアムズと偽警備員タイラー・ジョン・オルスンがタッグを組んで彼を車のトランクに隠して脱獄を成功させる。この三人の目的は彼に記憶を取り戻させて実行犯グループが隠した行方不明の2000万ドルをゲットしようという魂胆である。
 一方、7年間も事件を捜査しているベテラン刑事スタローンが脱獄した囚人を捕まえ、かつ、大金を取り戻そうとしている。捜査が進まぬことにイライラしたFBIが捜査に加わる。
 メドウが処方する記憶蘇生薬を打ち込まれ銃撃現場に連れて行かれたモディーンは徐々に記憶を取り戻し、廃工場に入って行く。そこへ発案グループが襲撃を加え、部下の報告を受けたスタローンが単独で乗り込んでいく。

主役はモディーンで、スタローンは最後のアクションで少し活躍するだけ。別にスタローンの活躍が少ないから☆★が少ないわけではない。お話がデタラメだからである。
 案の定発案グループの正体はFBI、経営者に騙されて被害を受けた従業員を代表して彼らと組んだのがモディーンで、脱獄に協力するのは息子たちと細君である。メドウはTVで見ると若そうに見えるが、撮影時52歳。なるほど細君役でおかしくない。
 ともかく、苦労を背負ったモディーンに同情して、FBI連中を尽く倒したスタローンがお金を渡して解放するのだが、ベテランとは言え一介の刑事にそんな独断ができますかねえ。しかも、“札には番号が控えてあり使えないぞ”とFBI捜査官が事前に告げていることを考えると使いようがないはず。海外に持ち出すのも外為法で無理であろう。

アクションになると途端にカメラを揺らし、カットを細切れにする演出も良くない。序盤のプロローグでひどく無気力なカメラワークと呆れていると、刑務所の中でモディーンにグスマンが脱獄をもちかける場面での移動撮影が少し面白かった。というのもカットを切った後再開するとまたその位置から移動撮影が始まるのである。不穏な雰囲気を醸成する効果が認められると少し見直したのだが、同じことを何でもない場面でもやっているのを考えると、単に移動撮影が好きなのに過ぎないと解って“な~んだ”ということになった。

お話も演出も極めて弱い。

「相棒」の杉下右京は、同情の余地があっても法は法で割り切る。人情時代劇ではあるまい、それが現代劇では正しい判断であろう。スタローン刑事、甘すぎる。

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