映画評「バグダッド・スキャンダル」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年デンマーク=カナダ=アメリカ合作映画 監督ペール・フライ
ネタバレあり

限りなく実話に近いフィクションと思えば良いのだろう(有名人だけが実名?)。十年余り前に当時の国連事務総長アナンを巡る騒ぎがあったことを少しだけ憶えている。本作が扱っている事件はそれに関係するものらしい。

イラク戦争勃発前の2002年、24歳の若者マイケル・サリヴァン=原作者マイケル・スーサン(テオ・ジェームズ)が国連に採用され、湾岸戦争で始まった経済制裁で疲弊するイラク国民を救う為に国連が主導する“石油食糧交換プログラム”の担当になる。外交官の父親をテロで失った経験を持つ理想主義的な彼は上司のパサリス(ベン・キングズリー)の清濁併せ吞む現実主義に当惑しながらも仕事をこなしていく。
 その間にこのプログラムが実際にイラク国民の為になっているところがある一方、何とフセインにも利益が還流する不正な仕組みがあることが判ってくる。バグダッド事務所のデュプレ所長(ジャクリーン・ビセット)の不正に対する厳しい態度を見、或いは、活動を通して愛し合うようになったクルド人女性通訳ナシーム(ベルチム・ビルギン)の窮地を救う為の行動が批判されて動揺する彼は、デュプレの謎の死を知るに及び、結局は自動車爆弾で死んでしまうナシームのおかげで手に入った汚職リストを新聞社に持ち込むのである。

告発される、ほぼ実際のお話が本作の全てであろう。かつてこの手の告発ものを得意としていたコスタ=ガブラス監督(の作品群)の厳しさと馬力はなく甚だ淡白、映画的にはそれほど面白くないということでござる。

というわけで一般論。汚職が全て悪いかと言えるのか僕は多少疑問なのである。100%清廉にやって世の中が良くなればそれに越したことはないが、どうしても解決しない問題が最小限の汚職で進展するなら否定しきれないような気がする。この映画が扱った事件で問題なのは、小悪が重なってイラク国民やクルド人を苦しめたフセイン大統領にまで大金が流れたことなのである。

僕らの若い時のスター、ジャクリーン・ビセット。彼女はこの間はフランス映画でフランス語だけを喋っていた。この映画ではフランス人もしくはフランス系(例えばケベック州の人)を演じている。フランス語が得意なのかな? そう言えば、トリュフォーの「アメリカの夜」にも出ていたなあ。尤も本人と重なる英国女優の役だったけど。

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