映画評「ヴェラクルス」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1954年アメリカ映画 監督ロバート・オルドリッチ
ネタバレあり

ある程度知られた西部劇は大概2回観ているので、本作も多分3回目だろう。

南北戦争に敗れ失意の元南軍将校ゲイリー・クーパーが新天地を求めて革命騒ぎ(史実上は王党派と共和派の争いで、所謂革命ではない)で荒れるメキシコにやって来る。馬が怪我をしたので新しい馬を買おうと、たまたま最初に出会った米国人の男バート・ランカスターに声を掛け、高い値で馬を買う。その馬が実はメキシコ国軍のものだったので二人して追われ崖を飛び越えるなどの冒険の末、ランカスターに財布を奪われそうになり逆に殴打する。
 結果的に意気投合した二人はマクシミリアン皇帝と革命軍の間に挟まれるが、結局皇帝側につき、フランスに帰る伯爵夫人デニーズ・ダーセルがヴェラクルスまで行く道の護衛することになる。
 実は皇帝側はこの行程で300万ドルをこっそりと運ぼうとしていることを知った二人は奪ってやろうと企む。実はデニーズも、革命軍も、皇帝側の侯爵も、そしてクーパーもランカスターも各々これを略奪して独占したいというのが本音で、騙し合いの駆け引きが続く。

駆け引きの面白さは、そもそも、クーパーとランカスターとの出会いから現れている。相手が拳銃に手をかけたのに気づいたランカスターが拳銃を抜くより速くクーパーは怪我をした馬を射殺する。ここで本作の基本ムードが決まり、それが最後の二人の決闘までずっと続くのである。やはり映画はこう一貫的であらねばならない。

駆け引きというのは翻せば裏切りであり、誰もが信用できない状況だが、コン・ゲーム的な面白さというよりはアクションに眼目を置いている。ランカスターは空中ブランコの飛び手という前身を生かしたアクションを見せ、一回り年上のクーパーの運動量を凌ぐ。しかし、クーパーの銃のハンドリングも捨てがたい。

93分という短い上映時間で内容豊富。西部劇ファンであるならば一度は観るべし。

クーパーと言えば、今の若い人には、ブラッドリーのことじゃろ。

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この記事へのコメント

2020年01月29日 23:44
おおっ!オカピーさん!素晴らしい記事のアップありがとう。
いやあ!面白かったですねぇ。私は実は西部劇はあまり好きではないんですが、この「ヴェラクルス」は本当に面白かったです。
そして、ドロンがギャバンと同じくランカスターを敬愛していた理由が良くわかりましたよ。
ドロンが「レッド・サン」でこのランカスターをモデルにしたことは(あくまで私の中でですが)確信に至っちゃってます。
オカピーさんは、どう思われますか?
まず、銃のホルスターへの収め方がとても似ている、ああいう仕草で銃を扱う西部劇の主人公、他にいたでしょうか?
最期の殺され方も、金に目が眩む悪党なのに凄くカッコいい。こんな魅力的な悪役なんて、私の記憶では、このランカスターと「シェーン」のジャック・パランスくらいなものです?
ともあれ、「ヴェラクルス」は、本当に面白かったですねぇ。

あっそれと「真紅の盗賊」のDVD買っちゃいました。
早く届かないかなあ。待ちどうしいです。

では、また。
オカピー
2020年01月30日 20:58
トムさん、こんにちは。

>オカピーさんは、どう思われますか?
>まず、銃のホルスターへの収め方がとても似ている、

言われてみれば、なるほどと思います。
「山猫」での共演がそういう影響を与えていると実に面白いですねえ。僕は先日の書き込みまでそこまで考えたことがなく、目から鱗でした。

>「真紅の海賊」
楽しめると良いですねえ。
当時はありふれた海賊映画の一本でしたが、ランカスターに注目してみると違った面白さを感じられるはずです。40年前僕は結構楽しみました。