映画評「フォルトゥナの瞳」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年日本映画 監督・三木孝浩
ネタバレあり

作家としての実力は知らないし、考えが理解できないわけではないが、事実に基づく嘘が多く他人を傷つけるような発言が好かないので、百田尚樹の著作物は一切読まないと決めている。映画化されたものは見ても良いとは思っている。本作はファンタジーで、これまで映画化された彼の作品の中では極めて軟派である。

自動車修理工場勤務の青年・神木隆之介は、死を目前にした人の体が透けて見えるという特殊能力を持つ。携帯電話の店に修理に出かけた時に対応した妙齢美人店員・有村架純の手が透けていたころから思い切って“話すことがある”と言い喫茶店で話すことにする。その結果彼女の死ぬ運命を回避する。社長・時任三郎をも彼を恨む社員からガードすることで命を救う。
 病院に運ばれた神木は同じ力を持つ医師から他人を助けると自分の命を削ることになると言われる。架純ちゃんは助けてくれた青年が好きになってお付き合いを始める。
 しかし、再び架純ちゃんの手が透け出した頃、複数の幼稚園児に命の危険が迫っていることに気付く。どうも遠足に乗る電車に何か起こるらしい。“沖縄へ旅行に行こう”と嘘の提案をして彼女を休ませることで彼女の死を回避する作戦は、彼女が休みを取れず、失敗に終わる。彼は、彼女と幼稚園児を救うべく必死の努力をする。さて、彼らの運命は如何に? 

他人の死が見えるというアイデア、そしてどんでん返しから推して量るに、百田は「シックス・センス」のような作品を書いてみたいと思ったにちがいない。「シックス・センス」のスリラー要素を薄めてロマンスでまぶしたと言えば、当たらずといえども遠からずである。

面白い或いは上手いと言っても良いのは、二人が特に神木がロマンス映画における所謂“すれ違い”をしていたと明かされる終盤の内容である。まだ新作なので詳細は言いかね、悩ましい。と言いつつ、以下に述べる弱点二点から推定できてしまうかも知れない。しかし、これを言わないと採点の根拠を失ってしまうので、悪しからず。

第一は、この特殊能力を持つ人間がこのごく狭い範囲に3人もいることである。元々ファンタジーなのだから余り現実的な視点から見てもつまらないかもしれないが、こんなにいては特殊能力とは言えまいと思わせるのはやはりまずい。これは相当な欠点である。第二に、どんでん返しに直結する、20年前の飛行機事故の顛末を記憶喪失に陥っているわけでもなさそうな主人公が憶えていないこと。お話に説得力を持たない所以である。

フォルトゥナと書くとイメージが違うが、要はフォーチュン(運、幸運、財産)の語源となったラテン語でござる。

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