映画評「若い人」(1962年版)

☆☆★(5点/10点満点中)
1962年日本映画 監督・西川克己
ネタバレあり

石坂洋次郎の出世作の3度目の映画化。途中までのアウトラインは原作通りながら、主題が全く変えられているので、これを小説「若い人」の内容と思って貰っては困る。僕は市川崑監督による二度目の映画化(1952年)を観ているが、あちらのほうがまだ原作の面影を残している。

いずれにせよ、戦前治安維持法下の自由主義者には少々息苦しい時代に書かれた小説を主題を変えずに時代だけ変えて映画化したらお話を成立させるのが難しいわけで、その意味ではこの1962年版の選択は正しいのだろう。

外国女性が経営するミッション系女子高校で、人気の青年数学教師間崎(石原裕次郎)は、同僚の美人教師橋本スミ子(浅丘ルリ子)から預かった問題児・江波恵子(吉永小百合)の作文を読んで衝撃を受ける。
 のが原作だが、この作品では、彼女が娼婦をしていた母親(三浦充子)が生んだ父なし子であるという特殊性の紹介に留まる。ハンサムな青年教師が同僚の女性教師と教え子との間の三角関係に揺れ動くのを見せる青春映画としてぐっと単純化する為である。

吉永小百合の江波恵子は原作や52年版のような屈折して淫靡な女を気取る少女ではない。原作では左翼的活動で検挙される橋本先生(原作は橋本スミ)は、本作では勿論政治活動に関係ないし、間崎絡みでも単に強敵の美少女に嫉妬するのみ。
 で、原作では少女と関係を結び少女との道を選ぶ間崎は、180度違って、常識的な学園映画らしく同世代の橋本先生を選ぶわけである。つまり、この映画は多少の難しい状況を見せながらも、どこからどこまでも明朗で時にコミカルな青春映画なのである。

17歳の吉永小百合を見るのが一番の面白味と言うべし。

今ではシングル・マザーも珍しくない。為に法律も色々変わりつつある。

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