映画評「007/ムーンレイカー」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1979年イギリス=フランス合作映画 監督ルイス・ギルバート
ネタバレあり

第10作「私を愛したスパイ」は以前書いたので飛ばして、この第11作でござる。およそ40年ぶりの再鑑賞。第9作「黄金銃を持つ男」と並んで評判が悪いようだが、僕は当時から案外買っている。

米国から英国へ空中移送中のスペースシャトルが盗難に遭う。M(バーナード・リー)にその行方を探すべく呼び出された007ことジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は、小型ジェット機で移動中に機を占領していた盗難一味に襲われ、機外に出されてしまう。一味の主戦力として活躍するのが前作にも出て来た大男ジョーズ(リチャード・キール)。
 事なきを得た007はシャトルを製造しているカリフォルニアの砂漠地帯にある工場を訪問、持主は陰謀の首領であるドラックス(ミシェル・ロンズデール)で、日本人みたいな中国人を使って彼を殺そうとするが、後にCIA捜査官と判明する美人科学者ホリー・グッドヘッド(ロイス・チャイルズ)に危機を救ってもらう。
 ここで手に入れた設計図を基にヴェニスのガラス工房に飛ぶ。実は秘密の研究所で、人間にだけ効く毒ガスを作っている。

その研究室に入る時の解除キーが「未知との遭遇」の通信音というお遊びがある。脚本を書いたクリストフォー・ウッドは前作で「ジョーズ」を出しているし、スティーヴン・スピルバーグのファンなのかもしれない。

さて、その製造に用いられるのがアマゾンにだけ存在する植物と判明したので、リオに飛んでホリーとの再会を楽しむ間もなく、ロープウェイでまたまたジョーズに襲われ、一致協力して危機脱出。ロープウェイのワイヤーを手で止め、歯で噛み切るジョーズは凄いですな。
 最後は5機のシャトルで宇宙へ旅立つ一味の計画を頓挫させようとボンドとホリーは一機に乗り込み、彼らの目論見が自分たちが避難している間に例の毒ガス50億人分を宇宙からばらまくことにあると掴む。

これまでは地球上で片が付いていたが、本作にて遂に、映画界でブームになっていた宇宙に繰り出して一部「スター・ウォーズ」を真似たような闘いを繰り広げる新機軸が当時話題になったと記憶する。

ストーリー展開は相当雑で、カリフォルニアの工場へはともかく各地へ一々飛ぶ必要性が薄弱、出たとこ勝負という印象が強い。が、序盤のスカイ・ダイビングに始まる“空中”や“落下”を記号として全編配しているところが映画言語的に面白いのである。
 ヴェニスでは日本人みたいな中国人が落下して死ぬが、これは序盤におけるジョーズの落下のリフレイン。リオ~アマゾンでボンドがロープウェイに宙ぶらりんしたり、ハンググライダーで飛んだり、ジョーズも滝から落下する。それは、スペースシャトルという空中を飛ぶ素材を生かす為の工夫ということであっただろう。「黄金銃を持つ男」よりスケールが大きくかつ映画としての統一感があるのである。

ルイス・ギルバート監督の作品としては「007は二度死ぬ」(1967年)に通じるところがある。あの作品も評判が悪いが、これまた僕は買っているのだ。

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