映画評「ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年日本映画 監督・藤原知之
ネタバレあり

和歌山県の太地町にある“くじらの博物館”を舞台にしたご当地映画。

客足が伸びず次々と飼育員が辞めていく状態の同館。
 館長の鶴見辰吾は東京から臨時の飼育員・武田梨奈を雇うと共に、クジラ馬鹿で「白痴」ムイシュキン侯爵のように純粋で若い矢野聖人飼育員をリーダーに抜擢、我こそは思っていたベテラン男性飼育員数名の反撥が発生する。しかし、矢野君は、同じ長屋式アパートに住む関係もあり、きつい性格の梨奈嬢や学芸員・岡本玲嬢と互いの目標を目指し支え合う関係になり、体操やイルカ・サーフィンをフィーチャーしたショーを軸にした“くじら祭”を企画する。
 やがて矢野君の純粋さに、反発していたメンバーも協力を申し出るようになり、反捕鯨団体も乗り込んでくる噂を乗り越えて、遂に成功裡にやり遂げる。

ご当地映画らしく全く毒はないが、下手に小細工に走らず素直に作られているところが良い。

反捕鯨問題が実は主題に絡んでいる。人には一人一人の考えがあり、主人公は他人の考えや違いを全て認めるのである。また、祭が終った後反捕鯨の外国人に岡本玲学芸員が自分たちのクジラへの愛を語ると、彼らはとりあえず“解った”と言う。彼女も彼に倣って(習って・・・か)反捕鯨の考えを否定しないのだ。イルカに関して性格の違いが人間同様ストレスを生むと説明される場面があり、ここでは他の飼育員の自分中心の考え方が浮かび上がり、矢野飼育員との差がはっきりと示されるわけである。
 全ての人間が彼のようになれば虐めも喧嘩も戦争も起こらないのだが、考える葦であっても人間はなかなかそこまで利口になれない。

鶴見辰吾の館長を見ると、NHKの名物番組「チコちゃんに叱られる」のコーナー“たぶんこうだったんじゃないか劇場”を思い出しニヤニヤ。主人公はやたらに同僚などから“(クジラ)バカ”と言われるが、同番組のキョエちゃん流に言えば「(バカは)大好きって意味だよ」ということになるのかもしれない。

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