映画評「復讐のトリック」

☆☆★(5点/10点満点中)
2017年韓国映画 監督チョン・シク、キム・フィ
ネタバレあり

シネマート新宿/心斎橋による企画【のもコレ3】で紹介された韓国製法廷サスペンス。当ブログでは一応本邦劇場未公開扱いとする。

敗戦した日本が出て行った直後のソウル。マジシャンのイ・ソクジン(コ・ス)が、ある夜、訳ありらしく見える妙齢美人チョン・ハヨル(イム・ファヨン)に援助の手を差し伸べ、それが縁になって助手に迎えると共に結婚、プサンに新天地を求める。
 ソクジンは不在の妻宛ての手紙を読んだ時にそれに関連する不審の物質即ち偽札印刷の銅板を発見し、やがてハヨルが殺される。犯人が日本人の名前オカモトを名乗る男と気づき、タクシー運転手となって男を探すうちに、偽札固有のナトリウム反応からその男即ち本名ナム・ドジン(キム・ジュヒョク)を遂に発見、別人チェ・ソンマンとなって男の秘書になる。

というお話が、このお話の後にこの家で起きる殺人事件をめぐる裁判と並行して進む。

邦題は犯人ではなく、作者のトリックを示しているようである。つまり、映画は被害者のチェという名前こそ出すが、被告即ち加害者を一切見せず、概要を説明しないため殺人事件があったということ以外殆ど何も解らないのである。裁判の内容を過去の場面から観客に推測させるわけで、ある時点まで被害者がドジンで、被告が彼を追い続けるソクジンと考えるのが大方の理解であろう。

お話を並行して進めるのはまずまず悪くないアイデアであるが、過去の場面に重点を置いているらしく、法廷場面自体は余り感心できない。特に、証人を別において証人でもない被告と検事が延々と話をするのは現代的裁判としては出鱈目にすぎる。ソンマン殺しで無期刑判決というのも法理的に無理があり、それで発覚した別の事件で有罪とされるべきだろう。

いずれにしても底の割れたお話で、最近再鑑賞した邦画の秀作「事件」(1978年)のように、過去が法廷場面を、法廷場面が過去の場面を面白くし合うというほどの構成の妙が発揮できず、寧ろその往来が煩わしいという欠点が目立つ。ただ、お笑い要素が一切ないのは、近年の韓国大衆映画では極めて珍しく、そこは好もしい。

日本統治時代への恨みが僅かに見える。統治時代への「復讐のトリック」だったのかもね。

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