映画評「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2018年アメリカ=メキシコ合作映画 監督ステファノ・ソッリマ
ネタバレあり

ドニ・ヴィルヌーヴが監督を務めた前作は社会派的なテーマを使って善悪の問題に迫る純文学になっていたが、監督がステファノ・ソッリマに代わった今回は社会派要素はあれどもぐっと娯楽度が高い。但し、脚本はどちらもテイラー・シェリダン。内容に応じて監督が代わったという感じである。

アメリカで自爆テロが起き、アメリカ政府は大本がメキシコの麻薬カルテルによる不法移民ビジネスにあると結論付け、CIAのジョシュ・ブローリンに麻薬カルテル壊滅作戦を命じる。
 彼は殺し屋ベニチオ・デル・トロを担ぎ出し内戦を起こしてカルテル壊滅を図る。その一環として彼らは麻薬王の娘イザベル・モナーを拉致、ライバルの犯行と思わせるべく国境を超えようとした時にメキシコ警察に襲撃される。
 かくして米墨の政治問題に発展した為に政府は方針変更、イザベルと彼女を連れ帰ろうとするデル・トロを殺すようブローリンに命ずる。

というお話だが、【Yahoo!映画】にあった“結局女の子はどうなったの”という疑問は愚問。ブローリンが政府の命令に反して助け“証人保護プログラムに付す”と明確に言っているわけで、少しも観客の理解に任せてなどいないではないか。つまり、それが実現すれば彼女には誰も手を出せない状態になるのだ。そこで一応のけりは付いているということになる(尤も政府がブローリンを殺すことにすれば別だが、その前段として彼はマスメディアに事件の一部を暴露するであろう)。その後のことは少なくとも続編(があれば)においてはいざ知らず、本編では関係のない話。

今回も、前作同様に一応は正義の問題をめぐって善悪論を俎上に載せる。国を守る為であれば麻薬王の娘とは言え、アメリカに不利になる目撃者になりうる少女を殺すことは理不尽極まりないという主張がなされる。しかし、余りに直截であって格好だけ、含みがなく、純文学的な意味での面白味がない。

また、本編だけで評価するとなると構成が弱い。お話の始まりと、麻薬カルテルの配下である手引きグループを抜けた少年が生き残った殺し屋デル・トロの弟子入り(?)する幕切れとは、全く齟齬する。まるでマーヴェル・コミックス映画版の最後みたいで、続編があるとすればこれが中間点となるから続編の作り方次第で一貫した作劇になるが、今の段階では何とも言えない。

そもそも少年は何故自分が殺したデル・トロが実は生きていると知り、グループより彼を選んだのか。或いは続編(があれば)でこの辺りが解るという筋書きかもしれない。僕は、少年が実は射撃の達人でわざと頭をかすめるように撃ったのではないかとさえ疑っている。頭から血を出してもデル・トロが死ぬようには見えなかったのだ。

脚本の問題を色々と指摘している割に☆★が多いではないかと思われるだろう。僕は、即実的なハードボイルド・タッチを買ったのだ。

日本シリーズ第4戦の、メディアも評論家も現時点では問題にしていないが、一部の野球ファンは気づいている真実。一回の裏ジャイアンツ二番打者坂本選手のファウルは野球のルール上、実はホームランだったのである。TVがビデオを流した時にボールはポールに当たって右側に大きくはねたことがはっきり確認された。はねたため着地点が大きく外れたから打った本人を含めて皆明らかなファウルと信じてしまったが、これが入っているとされれば、絶好調・菅野の投球は変わったはずで、この試合に関してはジャイアンツが勝利した可能性が高い。勝敗のボーダーラインだった。

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この記事へのコメント

2019年11月29日 07:31
射撃の達人に一票。
あごは、よく無事だったな、とは思いますが、まあ映画ですから。
オカピー
2019年11月29日 21:53
ボーさん、こんにちは。

>あごは、よく無事だったな、とは思いますが、まあ映画ですから。

映画はうまく嘘をついてなんぼですが、これはそれほどうまくないと思います。それ以前にあの子供の行動は解りにくいですね。